長時間のイヤホン避けて リモートワーク増え耳の疾患リスク懸念

コロナ禍で使用機会が増えているイヤホン。長時間使用を避けるなど注意が必要になりそうだ

 コロナ禍に伴うリモートワークの増加で懸念されるのが耳の疾患リスクだ。山陰中央新報「さんいん特報班」の取材で、リモートワークが原因で耳を痛めたとの受診が相次ぐ病院が確認された。医師はイヤホンの長時間使用を避け、ヘッドホンやスピーカーの使用で負担を和らげてほしいと呼び掛ける。

 「リモートワークでイヤホンをするようになり、受診する人が毎日のようにいる」。防衛医科大学校(埼玉県所沢市)耳鼻咽喉科学講座の水足邦雄講師が明かす。これまでは耳かきや補聴器の使用で痛めた患者が多かったが、コロナ禍で状況が一変した。

 在宅勤務に限らず、対面だった営業が社内からのリモートに切り替わり、学生はオンラインで授業を受ける。イヤホンを使う機会は格段に増えている。

 イヤホンは近年、骨伝導や耳に引っ掛けるタイプが登場。ただ、音質や種類の豊富さを考えると、耳の穴に入れる従来のタイプが優れており、家電量販店でも売り場の多くを占める。

 耳の穴の形は個々で異なり、既製品と合わない人もいる。そこで起こるのが、耳介から鼓膜までの通り道の外耳道に炎症が起きる外耳道炎や、外耳道の粘膜にカビが発生する外耳道真菌症だ。

 皮膚とイヤホンが触れる場所は強い力がかかって傷つきやすくなる。着脱でさらにダメージを受け、傷ついた箇所から細菌が入れば外耳道炎になる。加えて、耳の穴が密閉されると蒸れるため、カビが発生しやすい。軽度の外耳道真菌症がイヤホンの装着時間が延びたため、悪化する事例もあるという。

 対策は、耳当てのあるヘッドホンやスピーカーの使用のほか、小まめなイヤホン脱着だ。水足さんは、1時間以上着ける時は一度外すべきとし「(病気にかかると)痛みは強く、耳だれも出る。軽く捉えるべきではない」と警鐘を鳴らす。

 イヤホンの使用はオンライン会議や授業にとどまらない。会社内ではない場所で仕事をすると集中力が維持できず、改善するためにイヤホンで音楽を聴きながら作業する人もいる。

 鳥取大医学部付属病院耳鼻咽喉科の矢間敬章助教は「大音量で音楽を聴くのはアルコールと似た中毒性がある。特に過労や睡眠不足の際は避けてほしい」と、リモートワークが生み出す負の副産物に注意を促す。

 他の部位に比べ、耳の疾患は一度かかると治りにくいとされる。予防が大事なのはコロナだけではなさそうだ。

2020年10月20日 無断転載禁止