面会対応、悩む介護施設 島根

 新型コロナウイルスの影響で制限される介護施設の入所者と家族の面会について、施設で対応が分かれている。家族と触れ合う機会が減ることで認知症が悪化する懸念があり、時間の制限や全身消毒といった厳しい条件を付けて面会を許可する施設が出始めた。一方、感染予防の観点から制限を続ける施設も多い。厚生労働省は10月15日、面会の制限緩和を認める通知を出したが、判断は施設側に委ねられており、難しい対応が続いている。

 「家族の顔を忘れてしまった入所者がいる」

 松江市宍道町伊志見の特別養護老人ホーム(特養)「宍道楽苑」の西山秀幸副施設長が実情を明かす。

 施設では、入所者29人の平均年齢が80代後半で新型コロナの重篤化リスクを考慮し、通常の面会は認めていない。オンラインの面会ができるよう設備を整えているが、入所者が家族を見ても首をかしげることがあるという。

 10月下旬から面会再開に向けて準備を進めていたが、同月26日に松江市内で感染者1人が確認されたことから再開は保留した。西山副施設長は「緩和したい気持ちはあるが、入所者は持病もある人がいる」と複雑な心境を明かす。

 厚労省は、時間を最小限にとどめ、感染防止策を徹底するといった条件付きで面会の制限を緩和できると通知。地域での発生状況や自治体が示す対策の方針を踏まえ、施設側が判断するよう求めている。

 特養だけで115施設、入所者が2千人を超え、老人保健施設やグループホームといった施設を加えると400カ所近くになる島根県内では、施設に重責がのし掛かる。

 特養や老人ホームを運営する益田市高津4丁目の社会福祉法人「梅寿会」では全身消毒、マスク着用、うがいといったありとあらゆる予防策を徹底した上で、先月、県外からの面会にも対応を始めた。大畑国男理事長は「職員が家族にはなれない。面会すると利用者の顔色が変わる」と効果を肌で感じている。

 同県津和野町後田の特養「シルバーリーフつわの」では、みとりに関わる面会以外はできないが、今月に専門家を招いた研修を実施し、町内に住む家族から徐々に緩和する方針を打ち出した。中沢康夫副施設長は医療体制が十分な地域ではない点を指摘し、「感染したら命に関わるため慎重にならざるを得ないが、いたずらに制限を続けるわけにもいかない。正解は見えない」と打ち明けた。

2020年11月2日 無断転載禁止