島根の羊毛作家の生地が最高賞

最高賞を受賞した羊毛生地の前で、今後の構想を語る笠木真衣さん=大田市山口町山口
 島根県大田市山口町山口の羊毛作家、笠木真衣さん(37)が制作した羊毛生地が、生地の質やデザインを競う全国大会で最高賞の経済産業大臣賞に輝いた。国内で流通する羊毛の9割以上を海外産が占める中、貴重な国産羊毛のみを原料に、薬品や熱の利用を抑えて丁寧に仕上げた高い品質が評価された。笠木さんは「信じられない。羊毛の素晴らしさを多くの人に知ってもらう機会になればうれしい」と喜んでいる。

 笠木さんが制したのは、羊毛生地のできを競う大会としては国内唯一の「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」。応募総数304点、入賞者に企業が名を連ねる中、個人で頂点に立った。主催者によると、個人の1位は1999年以来、21年ぶりの快挙という。

 神奈川県出身の笠木さんは学生時代、児童文学に触れて物語に出てくる織物に興味を持った。10年前に羊毛から糸を作る体験会に参加したことで、独特の香りや手触りに魅了されて「いつか羊を飼って、織物を作りたい」という夢を抱くようになった。

 2018年、結婚を機に夫の真人さん(41)の古里へ移住。出雲市佐田町の団体から仕入れた羊毛で機械とハンドメードで織物を制作している。

 こだわるのは、手洗い加工の羊毛を使うこと。羊毛が本来持つ湿度の調整具合、断熱性を最大限残すためには手洗いが最適で、今回出品した生地(幅153センチ、長さ400センチ)も手洗いした県産羊毛のみを厳選して使用した。受賞で「より自然に近い状態の羊毛生地を評価してもらえた」と受け止めた。

 今年からは、自宅で5頭の羊を飼うという念願もかなった。自給自足の生地を目指す笠木さんは「羊毛は刺し身と同じ。本来の魅力を損なわないような製造工程を研究し、県産、国産羊毛の魅力をさらに広めたい」と力を込める。

2020年11月22日 無断転載禁止