41歳「引退じゃない」

 プロ野球日本シリーズが始まった。頂上決戦に注目が集まる傍ら、来季の構想から外れてチームを去った選手も多い。阪神一筋16年通算104勝をマークした能見篤史投手(41)もその一人だ▼筆者は23年前、鳥取城北高時代の左腕を取材した。同学年でオリックスに入団した川口知哉投手(京都・平安高)、阪神で活躍し大リーグにも挑戦した井川慶投手(茨城・水戸商高)と並ぶ「高校生左腕三羽がらす」と騒がれながら、甲子園には縁遠かった▼2年秋の中国大会で4強入りしたがセンバツ出場はならず、腰を痛めて不十分な状態で臨んだ3年の夏は、守りのミスが重なり鳥取大会2回戦で敗退。「バックを信頼して全員野球で勝つ」と意気込んでいただけにショックだったのか、試合後は報道陣の前から姿を消した▼社会人の大阪ガスを経て2004年、高校時代に届かなかった甲子園を本拠地とする阪神に入団。長年エースとして先発マウンドを守ってきたが、結果が出なくなった2年前、当時の金本知憲監督から「チームを助けてくれ」と請われ中継ぎへ。腐らず、与えられた場所で輝く尊さを、かつての取材相手から学んだ▼若返りを図るチーム事情で今季限りでの退団が決まったものの「引退じゃない」。最終戦では最速149キロの速球を披露した。縦じまのユニホームは脱ぐが、来季は甲子園で古巣相手に全力投球する勇姿を見せてほしい。(健)

2020年11月22日 無断転載禁止