出雲国風土記の渡し場発見 全国初、古代の官道

古代の渡し場「朝酌渡」の一部と見られる遺構。礫(れき)石や小さく割った須恵器を敷き詰めている=松江市朝酌町
 奈良時代の地誌「出雲国風土記」に記された官営の渡し場「朝酌渡(あさくみのわたり)」とみられる石敷の護岸が、松江市朝酌町の大橋川北岸にある朝酌矢田2遺跡で見つかった。23日に島根県埋蔵文化財調査センターが発表した。渡し場は出雲と隠岐を結ぶ古代の官道の一部。官道上の渡し場が確認されたのは全国で初めてになる。

 遺構は南北11メートル、東西20メートルで、5度ほどの傾斜がある石敷護岸。礫石(れきいし)に小割にした須恵器を混ぜて土の上に敷いている。陸に続く北側は特に細かく敷き詰められており、船揚げ場や船着き場として使われたと考えられる。年代は須恵器の形式から、7世紀後半~8世紀と推定される。

 出雲国風土記には、古代山陰道の支線で出雲国府と隠岐国をつなぐ「枉北道(おうほくどう)」が記され、大橋川を渡る地点には、官営の渡し場「朝酌渡」が設けられたとされている。同センターでは、今回見つかった遺構は、規模や風土記の記述内容から朝酌渡の可能性が高いとみている。

 国道交通省出雲河川事務所の大橋川河川改修事業に伴う調査で、遺構は大橋川の拡幅範囲と重なる。遺跡の取り扱いについて、同省出雲河川事務所は「国としても地元の意見も聞きつつ協力していきたい」と話し、島根県教育委員会と協議することにしている。

 現地説明会は26日午前11時と午後1時半の2回で、それぞれ定員20人。事前申し込みが必要で、受け付けは24、25日午前9時~午後5時。申し込み先は同センターで電話0852(36)8608。後日ウェブ上で説明会の動画が公開される。

2020年12月24日 無断転載禁止