安来・加納美術館、平和学習の受け皿に 修学旅行先変更で

「平和友好の碑」の前で子どもたちに講話する加納佳世子名誉館長(左)=安来市広瀬町布部
 フィリピンの日本人戦犯の赦免運動に尽力した安来市出身の画家・加納莞蕾(かんらい)(1904~77年)ゆかりの市加納美術館(島根県安来市広瀬町布部)が、新型コロナウイルス感染拡大のため県外での修学旅行による平和学習が難しい小中学校の受け入れに力を入れている。依頼に応じて加納佳世子(かよこ)名誉館長(76)が講話を行い、安来から世界に向けて恒久平和を訴えた父・莞蕾の取り組みと思いを子どもたちに伝える。

 同美術館によると、新型コロナウイルス感染拡大を受け、県内を修学旅行先に選ぶ学校が増加。平和記念公園(広島市)などに代わる平和学習の場として、問い合わせがあるという。

 ただ、同美術館は9月29日から来年5月末まで改装工事に伴い休館中で、講話は隣接する布部交流センターで実施。フィリピンの故キリノ元大統領に助命嘆願書を送り続けて日本人戦犯105人の釈放の道を開いた莞蕾の活動と、日本兵に妻子を殺されたキリノ元大統領が恒久平和を願い釈放を決断したエピソードなどを紹介する。

 昨年秋以降、浜田市と島根県奥出雲町の2小学校が修学旅行で訪問。11月19日には横田小学校(同県奥出雲町横田)の6年生14人が訪れ、憎しみの連鎖を断ち切った莞蕾とキリノ元大統領の平和思想を学んだ。好天時は同美術館前にある「平和友好の碑」も見学してもらう。

 加納名誉館長は「父は次世代に恒久平和の願いを託した。莞蕾とキリノ元大統領の願いを古里の子どもたちが学び、世界中に広げてほしい」と願い、希望があれば山陰両県の小中学校で出前講座も行うという。

2021年1月5日 無断転載禁止