できないかけ算

 注目される新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府は(1)医療従事者(2)高齢者(3)14種類の基礎疾患がある人(4)一般人-の順で行う方針だという。昨年末に順番を審議した厚生労働省専門家会議の資料によると、年齢が上がるにつれて重症化のリスクは高くなる。30代を基準に40代で4倍、60代は25倍、80代になると71倍にも跳ね上がる▼さらに基礎疾患はリスクを高める要因になるといい、米国疾病対策センターの報告では、2型糖尿病が2.3倍になっていた。14種類の基礎疾患のうち糖尿病など四つの疾患を治療中の筆者のリスクは、一体何倍になるのか。気が重くなり、掛け算をやめた▼進歩した治療と薬剤のおかげで、日常生活に支障は出ていない。血液の数値も正常範囲に収まっている。治療の成果がコロナ感染のリスクにどう影響するのか、ネットで調べてみたが、はっきりした答えは見つからず、緊張した日々を送っている▼基礎疾患は気付きにくい。すぐに分かるのは肥満症ぐらい。経験上、かなり悪化しないとはっきり症状は出ない。2年前に進行した狭心症と診断されたが、最初は胃痛を感じて逆流性食道炎だと思い込み、市販の胃薬を飲んでいた▼どれだけの人が基礎疾患に気付かず、放置しているのだろうか。基礎疾患は高齢者に多いイメージだが、若い世代も罹患(りかん)する。コロナ禍だからこそ自分の体を知っておきたい。(釜)

2021年1月22日 無断転載禁止