ガラスの天井と次期米大統領

 米国で5年前、男性より女性の医師にかかった方が入院後の死亡率が低いという研究結果が発表された。米国の大学で研究活動する医師で医療政策学者の津川友介氏らが、100万人以上の内科入院患者を対象に行った調査によると、入院後30日以内の死亡率は男性医師が担当した場合が11.2%、女性医師10.8%だった▼「わずか0.4%の差と思われるかもしれないが、米国政府が10年かけてあらゆる努力で下げた死亡率の差に等しい」と津川氏。女性医師の方が患者とより丁寧にコミュニケーションを図っているためとみられるが、処遇は男性医師と比べて給料が安く、昇進も遅いことが社会問題になっているという▼就任後1週間のバイデン米大統領も顔負けの注目を集めているのが、ハリス副大統領。副大統領がこれほど熱視線を浴びるのは米国建国以来初だろう▼女性、黒人、アジア系として初めての副大統領が就任式で着用した紫色のコート。ファッション業界も注目するその値踏みは日本円で8億4千万円。米国のデータ分析企業がメディアを通じてブランド力を高める1日当たりのマーケティング価値に換算した▼「アメリカファースト」からレディーファーストを含む多様性への復帰を象徴するハリス氏は「副大統領になる女性は私が初めてかもしれないが、最後にはならない」。「ガラスの天井」を破る次期大統領の姿が浮かぶ。(前)

2021年1月27日 無断転載禁止