鉄のまほろば

  • 若杉たたらの天秤鞴や操業道具など一級の史料が並ぶ和鋼博物館。国内唯一のたたらの総合博物館として、鉄づくりの歴史を守り伝える=安来市安来町

    (50)完 和鋼博物館 郷土の遺産今にとどめる

     江戸時代から明治時代前期に、鉄の積み出し港として安来港が栄えた。奥日野や奥出雲などから運ばれた鉄が、港を通じて船で国内各地に運ばれた。そうした港の隣接地に、たたら製鉄の歴史と文化、技術を紹介する和鋼 (2016/03/14) [全文]

  • 山陰両県のたたら経営者が興した会社を起源に持つ日立金属安来工場がある安来市。山手工場(手前)と海岸工場(左奥)に囲まれるように街並みが広がる

    (49)ハガネの町 「誠実美鋼」の精神継承

     JR安来駅の南側に位置する日立金属安来工場山手工場(安来市安来町)内の山上に、製鉄の神に祈りをささげる金屋子神社が祭られている。拝殿には300年以上前に造られた野だたらの■(金ヘンに母)(けら)が供 (2016/03/07) [全文]

  • ヤスキハガネが鍛接された鉄をたたきながら、手際よく包丁を成形していく日野浦司さん。たたら製鉄にルーツをたどる高級特殊鋼が三条刃物の職人技に生きる=新潟県三条市塚野目1丁目、日野浦刃物工房

    (48)三条刃物 切れ味支える「安来鋼」

     ガス炉で真っ赤になるまで熱した鉄の塊をスプリングハンマーでたたくと、焼けた鉄片が薄暗い作業場に飛び散った。新潟県三条市の住宅街にある工房で、伝統工芸士の日野浦司さん(59)が、同じ作業を2度、3度と (2016/02/29) [全文]

  • 抜刀会での迫力ある剣さばきに熱い視線を注ぐ女性たち=島根県奥出雲町横田、奥出雲たたらと刀剣館

    (47)刀剣女子ブーム 魅力を伝え文化継承

     「バサッ、バサッ」。奥出雲たたらと刀剣館(島根県奥出雲町横田)で1月下旬に開かれた「抜刀会」。しんしんと雪が降る中、鋭く光る日本刀が振られ、冷気を切り裂いた。 (2016/02/22) [全文]

  • 大正から昭和期の奥出雲製鉄史を伝える日立金属安来製作所鳥上木炭銑工場の角炉(左側)。手前のれんが造りが1号炉、奥の鉄板造りが2号炉=島根県奥出雲町大呂

    (46)継承された技 廃絶の荒波越え脈打つ

     島根県奥出雲町大呂の日立金属安来製作所鳥上木炭銑工場には、2基の角型溶鉱炉(角炉)が大切に保存されている。1934(昭和9)年と51(同26)年に築かれ、いずれも国の登録有形文化財。操業できる状態で (2016/02/08) [全文]

  • 金屋子神を祭る豊田自動織機本社工場内の豊永神社。鉄の神への尊崇が、今もトヨタ発祥の地で大切に受け継がれていた=愛知県刈谷市豊田町2丁目

    (45)愛知の金屋子 トヨタ発祥の地に鉄の神

     「トヨタ」の発祥の地、愛知県刈谷市豊田町の豊田自動織機本社工場。整然とした敷地内に、ひときわ清浄な一角がある。長年、グループの繁栄を見守ってきた豊永神社だ。1月8日、近くにある市原稲荷神社の小嶋今興 (2016/02/01) [全文]

  • 九州の炭鉱爆発事故で犠牲になった夫婦の墓。たたら製鉄が廃れ、石見から多くの人たちが出稼ぎに向かった=島根県邑南町日貫

    (44)石見から出稼ぎ たたらの終焉で炭鉱へ

     たたら製鉄が明治時代まで盛んだった島根県邑南町日貫の鉄穴ケ原(かんながはら)地区の一角に、十数基の墓が並んだ共同墓地がある。このうち4基は2組の夫婦の墓で、墓石には100年前のある出来事が刻まれてい (2016/01/25) [全文]

  • 人材育成にかけた田部家の情熱を物語る旧吉田小学校の講堂。今も生涯学習交流館として住民に利用されている=雲南市吉田町吉田

    (43)鉄師の社会貢献 私財投じて小学校開設

     吉田町生涯学習交流館(雲南市吉田町吉田)に、一枚の肖像画が大切に伝わる。描かれたのは江戸時代、松江藩の鉄師を務めた田部家第21代当主・田部長右衛門長秋。目に力があり、意志の強さを感じさせる。 (2016/01/18) [全文]

  • 周辺の山容を借景に取り込んだ足立美術館の主庭。四季折々に姿を変えるかつての薪炭林が庭園に彩りを添える=安来市古川町

    (42)足立美術館 始まりは木炭の輸送

     横山大観をはじめとする近代日本画と日本庭園で知られる足立美術館(安来市古川町)は、米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が企画する日本庭園ランキングで、13年連続1位に (2016/01/11) [全文]

  • 作業小屋の棚にびっしりと詰め込まれたたどん。風にさらして乾燥させる=出雲市高松町、丸ヨ商店工場

    (41)たどん 小さな「暖」今でも重宝

     黒く丸められた手のひらサイズの固形燃料が11月下旬、出雲市高松町の丸ヨ商店工場で、今シーズンの出番に備えて整然と並んでいた。木炭の粉(粉炭)とでんぷんを混ぜてつくられた「たどん」。冬になると地元のみ (2015/12/28) [全文]

  • 窯の前に並んだクヌギの木炭。島根の炭焼きはかつて王国の名をほしいままにした=益田市美都町板井川、山本粉炭工業

    (40)ポストたたらの木炭 品質の高さで市場席巻

     雲南市吉田町の杉戸地区に残る築80年の建物はかつて若者たちが寄宿生活を送りながら、木炭の製造技術を学ぶ「森林道場」だった。 (2015/12/21) [全文]

  • 山仕事と疎遠になった森でナラ枯れに見舞われたコナラの木。枝が朽ち、風雪にさらされていた=島根県奥出雲町三成

    (39)ナラ枯れ 山と人の暮らし切り離され

     島根県内に初雪が降った11月下旬、奥出雲町三成の町役場の裏山で樹齢40年以上のコナラが無残な姿をさらしていた。2年前に広葉樹が次々に枯れる「ナラ枯れ」に見舞われた。 (2015/12/07) [全文]

  • 水車小屋でソバの実をひく小池武徳さん。横田小ソバの甘みと香りを逃さないよう、昔ながらの石臼を使ったそば粉作りを続ける=島根県奥出雲町下横田、川西そば工房の川西ふれあい水車

    (38)たたらとそば 製鉄に伴い栽培拡大

     「ゴットン、ゴットン」と水車が回り、島根県奥出雲町でしか採れない在来種「横田小ソバ」が石臼で丁寧にひかれていく。「時間はかかるけれど、際だった甘みと香りを逃さない最良のひき方」。同町下横田で、川西そ (2015/11/30) [全文]

  • 紅葉に染まった奥出雲おろちループ周辺の山林。かつて、絲原家のたたら製鉄に欠かせない炭が盛んに焼かれた=島根県奥出雲町八川

    (37)松江藩と鉄師、森林 資源の「持続」に工夫

     2重ループ橋として日本一の規模を誇る島根県奥出雲町八川の奥出雲おろちループを望む。一帯の紅葉と針葉樹の緑が鮮やかだ。「出雲と伯耆、備後3国の国境に近い森林は全て絲原家の山だった。たたらの炭を焼く炭窯 (2015/11/23) [全文]

  • 白砂青松の弓ケ浜を歩くと、奥日野からもたらされた砂鉄を今も観察することができる=米子市河崎

    (36)地形改変・弓浜半島編 日本最大級の砂州形成

     北に島根半島、南に大山を望みながら弓ケ浜を歩く。境港、米子両市にまたがる弓浜半島は長さ18キロ、幅3~5キロ、面積は64平方キロ。日本最大級の砂州だ。波打ち際を見つめると、白砂が真っ黒に染まった場所 (2015/11/16) [全文]

  • 鉄穴残丘が点々とする於保知盆地。鉄穴流しによる地形改変の壮大な営みを感じさせる=島根県邑南町高水の町有宿泊施設「いこいの村しまね」から

    (35)地形改変・於保知盆地編 歳月かけた大地の創造物

     標高700~800メートルの山並みに囲まれた盆地の至る所に高さ20~30メートルの小山が顔を出している。島根県邑南町矢上、中野両地区にまたがる於保知(おおち)盆地を高台から見下ろす風景には、どこか違 (2015/11/02) [全文]

  • 斐伊川河口近くに広がる出雲平野。田んぼの中に市街地や民家が点在する独特の景観は、鉄穴流しによって堆積した土砂で形成された=出雲市国富町の旅伏山中腹から

    (34)地形改変・斐伊川編 鉄穴流しで平野広がる

     2枚の図を見比べて、思わず息をのむ。1636(寛永13)年に描かれた「出雲国十二郡図」と現在の地形図。宍道湖に注ぐ山陰最大級の河川、斐伊川周辺に注目すると、江戸時代前期より出雲平野が大きくなっている (2015/10/26) [全文]

  • 「島のたたら」を支えた那久の港。夕方になると、日本海に向けて漁船が出て行った=島根県隠岐の島町那久

    (33)隠岐の島・那久鉄山 製鉄技術者雲州から招く

     西の海に日が沈むころ、港から1隻の漁船が出た。日中の勤めを終えた住民たちが船を操り、自宅で食べる魚を釣る。 (2015/10/19) [全文]

  • 全国に知られた鉄ブランド「印賀鋼」を生み出した大地。稲刈りが進む田園が夕日に浮かび上がった=鳥取県日南町印賀、折渡地区

    (32)印賀鋼 高い品質全国に名声

     銀色の輝きを放ち、ずっしり重い。鳥取県日南町印賀の旧大宮小学校校舎を活用した大宮地域振興センターで貴重な玉鋼を見せてもらった。伯耆国の鉄師・近藤家が操業していた吉(よし)だたらで造られた印賀鋼だ。印 (2015/10/13) [全文]

  • 緑陰に眠る都合山たたら跡。砂鉄洗場(手前)や高殿跡(左側石垣の上)など山内集落の遺構がよく残っている=鳥取県日野町上菅

    (31)都合山たたら跡 奥日野顕彰の起点に

     「奥日野全体で350カ所あるたたら跡の中でも、ここが最高だ」。うっそうとした杉木立の中を歩き、伯耆国たたら顕彰会事務局長を担う藤原洋一さん(65)の言葉に納得した。伯耆の鉄師・近藤家が経営した鳥取県 (2015/10/05) [全文]

  • 明治期には、年によって奥出雲御三家の総量をしのぐ製鉄量を誇った近藤家住宅。秋雨にぬれた出雲街道を照らしていた=鳥取県日野町根雨

    (30)伯耆の鉄師・近藤家 御三家の生産量一時しのぐ

     参勤交代の際、松江藩主が訪れた宿場町の面影をとどめる鳥取県日野町根雨。出雲街道沿いに歩くと、ひときわ風格を帯びた邸宅がある。江戸後期の1779年から鉄造りを始めた伯耆の鉄師・近藤家住宅だ。9代当主の (2015/09/21) [全文]

  • 宵闇に浮かび上がる大呂愛宕祭りの山車。晩夏の奥出雲に幻想的な雰囲気を醸し出す=島根県奥出雲町大呂

    (29)鉄師伝えた祭り 時を超え地域で伝承

     斐伊川の源流を発する船通山の麓が夕暮れに包まれるころ、島根県奥出雲町の棚田が広がる集落を、華やかな幕や花飾りを付けた山車が練り歩く。山車の上では、化粧した振り袖姿の稚児たちが太鼓をたたきながら「あ~ (2015/09/07) [全文]

  • 石見を築いた たたらと水運(PDF) ikou

    (28)石見を築いた たたらと水運

     「鉄のまほろば」は、石見にもあった-。江戸時代の石見は、出雲にも劣らない「製鉄王国」を築いていた。浜田市や邑智郡を中心に採れる良質な砂鉄があり、燃料の木炭になる森林資源は全域に広がっていた。生産され (2015/08/31) [全文]

  • 世界文化遺産に登録された大板山たたら製鉄遺跡。長州藩の洋式軍艦の建造を石見のたたら技術が支えた=山口県萩市紫福

    (27)大板山たたら 石見人が礎世界遺産に

     山口県萩市紫福の大板山たたら製鉄遺跡は、日本海岸から約10キロ入ったひっそりとした山中にある。「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界遺産に登録された7月以降、週末は1日300人の来訪者でにぎわう (2015/08/10) [全文]

  • たたらで山地の暮らしを支えた斎藤六左衛門をたたえる石碑。森の奥で人知れずたたずんでいた=島根県邑南町阿須那

    (26)大利たたら 恩恵に感謝石碑建立

     「当村百姓至テ困窮付出張六左衛門愁之鈩発起之儀…」 (2015/08/03) [全文]

  • 和鉄を鍛錬して日本刀作りに打ち込む三上貞直さん。槌を下ろすたびに、薄暗い工房に火玉が飛び散った=広島県北広島町有田、三上貞直日本刀鍛錬道場

    (25)出羽鋼 脈々と息づく刀工の技

     カチーン、カチーン。木炭で熱し、真っ赤になった鉄の塊に刀匠の三上貞直(さだなお)(本名・孝德)さん(60)が槌(つち)を振り下ろすと、鉄の破片が飛び散った。鉄を熱して、たたいて伸ばし、折りたたんで、 (2015/07/27) [全文]

  • 邑南町教育委員会の調査で出土した青松炭窯跡群の1基。戦国時代後期とされる炭窯の発掘例は島根県内で少ない。調査後、林道建設で6基のうち4基が姿を消した=島根県邑南町上田所

    (24)久喜・大林銀山 銀鉱石の採掘支える

     土の壁が黒く焼け、木のタールが染みついている。近年まで盛んに炭が焼かれたような錯覚を覚えるほどしっかりした造りだ。広島県境に近い島根県邑南町上田所の青松地区で6月、林道建設に伴う発掘で、山の斜面を掘 (2015/07/20) [全文]

  • 鉄や生活物資を運ぶルートとして地域の産業と暮らしを支えてきた江の川。奥の集落が潮村=島根県美郷町長藤

    (23)江の川 水運生かし一帯繁栄

     ゴトン、ゴトン…。川沿いのJR三江線のレール音が、朝もやの残る山にこだました。広島県北広島町の阿佐山を源流とする江の川は、全長194キロ、流域面積3900平方キロメートル。ともに中国地方随一で“中国 (2015/07/06) [全文]

  • 真島から望む和木町の砂丘地帯。真島には小川家の別荘や茶室があった。小川八左衛門秀行は生涯に飢饉(ききん)と疫病、浜田沖地震の3度の災害に遭いながら懸命に生き抜いた=江津市和木町

    (22)和木の砂丘開拓 鉄穴流し応用農地造成

     赤瓦や黒瓦の家々が立ち並ぶ江津市和木町の日本海沿いの砂丘地帯。砂浜が海に延びて地続きになった真島に上ると、風が吹き視界が開けた。 (2015/06/29) [全文]

  • 夕日に浮かんだ笠ケ鼻東側の百済浦。海岸近くにたたら場があった時代には、砂鉄や木炭を運んだり、出来上がった銑を各地へ送ったりする船が行き来した=大田市鳥井町鳥井

    (21)海の総合商社 たたらと回船で時代築く

     大田市の世界遺産・石見銀山遺跡でボランティアガイドを務める松原軍二さん(74)=大田市久手町波根西=は、銀の積み出し港だった同市温泉津町温泉津に残る船宿の客船帳を見てびっくりした。 (2015/06/22) [全文]

  • 浜辺近くのやぶの中に残るたたら場跡では、大量の鉄滓が埋まっていた=大田市温泉津町湯里

    (20)黒い浜(大田) 浜辺に残るたたらの記憶

     大田市温泉津町の湯里地区と日祖地区の間にある入江の砂浜は、真っ黒-。 (2015/06/08) [全文]

  • 各地のたたら場への砂鉄運搬に使われた笠松峠の畳石路=浜田市金城町波佐

    (19)笠松峠の石畳路 重い砂鉄安全に運搬

     江戸時代、津和野藩には中国山地に散在した「飛び地」と呼ばれる領地があった。島根県邑南町日貫、浜田市金城町や弥栄町などの飛び地を東西に結びながら、中国山地を縦断するルートは「津和野奥筋街道」と呼ばれた (2015/06/01) [全文]

  • 残照に浮かぶ上室谷集落の棚田。日本海を望む方角に照明をつけた中国電力三隅発電所が見えた=浜田市三隅町室谷

    (18)井野の棚田 鉄穴流しが生んだ1千枚

     千枚田を抜ける優しい風が頬をなでる。汗ばむほどの陽気となった5月中旬の夕暮れ時、日本海を望む浜田市三隅町井野地区の棚田を訪れた。 (2015/05/25) [全文]

  • 鉄穴流しの技術を応用して造られたとされる都川の棚田。強固な石積みに囲まれた田んぼでは、田植え作業が続いていた=浜田市旭町都川

    (17)都川の棚田 石垣に鉄穴流し技術応用

     自然石を組み上げた美しい石垣が、新緑の谷に映える。あぜのカーブに沿って植えられた苗が描く曲線が美しい。5月初めの浜田市旭町都川。川の最上流にある棚田で田植えが始まった。 (2015/05/18) [全文]

  • 桜谷たたら跡の後背地にたたずむ金屋子神の祠。金屋子神に関する文献を残した石田春律の名が刻まれている=江津市松川町

    (16)金屋子神社(下) 石見にも信仰の広がり

     江の川河口から5キロ上流にある江津市松川町太田地区。国道261号から50メートルほど急斜面を登ると、石垣に囲われた場所に高さ1・3メートルの祠(ほこら)が静かに鎮座していた。石柱には「金鑄兒(かない (2015/05/11) [全文]

  • たたら操業の無事と良鉄生産を念じ、はだしで歩を進める参加者=島根県奥出雲町大呂

    (15)金屋子神社(上) 安全祈り はだし参り

     4月21日午前6時。世界で唯一たたら製鉄を操業する島根県奥出雲町大呂の「日刀保(日本美術刀剣保存協会)たたら」から35人がはだしで歩き出した。製鉄の安全操業を祈る「はだし参り」の一行だ。目指すは峠を (2015/05/04) [全文]

  • 田儀櫻井家の本宅跡を調査する田中正実会長(左)ら「田儀櫻井家たたら製鉄遺跡保存会」のメンバー。残された高さ15メートルの石垣が威容をさらけ出していた=出雲市多伎町奥田儀

    (14)海と山のたたら 田儀の歴史住民がつなぐ

     松江藩の鉄師で、出雲市多伎町田儀でたたらを営んだ田儀櫻井家は、江戸時代末期の鉄の生産量が田部家(雲南市吉田町)に次いだとの記録が残る。隆盛を支えたのが、明治初期まで150年操業した越堂(こえどう)た (2015/04/27) [全文]

  • 奥出雲町きっての和牛産地として知られる鳥上地区。鉄穴流しで造られた田んぼでは、春の青空が広がる中、農家が出産を間近に控えた雌牛の「ならし運動」をしていた=島根県奥出雲町大呂

    (13)和牛 鉄師が品種改良主導

     中国山地の島根県仁多郡と鳥取県日野郡、旧広島県比婆郡に旧岡山県阿哲郡。斐伊川と高梁川を結ぶ線の上流域は、たたら製鉄の古里であるとともに和牛のまほろばだった。しかも、たたらと和牛は強く結ばれていた。 (2015/04/20) [全文]

  • 松江藩主がくぐった御成門越しに見た岩浪の滝。櫻井家住宅を代表する文化的景観となっている=島根県奥出雲町上阿井

    (12)岩浪 不昧に粋なもてなし

     こけむし、ゴツゴツした岩肌を幾筋もの清冽(せいれつ)な水流が落ちる。その音に聴き入ると、心が澄み安らいでいく。江戸時代、松江藩の鉄師(てっし)頭取を務め、鉄づくりを取り仕切った櫻井家の住宅(島根県奥 (2015/04/13) [全文]

  • 残雪を頂く船通山を背に出発を待つJR木次線の宍道行き列車=島根県奥出雲町横田、JR出雲横田駅

    (11)木次線 鉄路に託した地域の未来

     雪の残る船通山(1142メートル)を島根県奥出雲町横田、JR木次線の出雲横田駅から望む。足元にはツクシがひょっこり顔を出している。3月下旬、中国山地に春が来た。 (2015/04/06) [全文]

  • 菅谷たたらの高殿。田部家が雲南市に寄付して改修工事が行われた。火災を避けようとした建物の高さが際立つ=雲南市吉田町吉田

    (10)菅谷たたら 現存高殿未来に伝承

     春の日差しを浴びて、こけら葺(ぶ)きの屋根が美しく輝く。中に足を踏み入れると、築かれた炉が、村下(むらげ)(技師長)を中心に鉄づくりに励んだ人々の姿をほうふつさせる。 (2015/03/30) [全文]

  • 戦前の三沢地区で営まれた砂鉄の比重選鉱。砂鉄を「おい箱」に背負って運ぶ女性の隊列が奥に見える。左側の帽子をかぶった男性は源幸栄さんの祖父勇助さん(吉川佳司さん提供)

    (9)鉄穴流し最後の地

    1972年まで砂鉄採った三沢(奥出雲) 従事者30人語り継ぐ (2015/03/23) [全文]

  • これがたたらだ!!【イラスト(pdf)】 ikou

    (9)たたら製鉄の仕組み

     世界で唯一、たたら製鉄を続けている島根県奥出雲町大呂の日刀保(日本美術刀剣保存協会)たたらは、日本刀の原料となる品質の高い玉鋼を製造している。山の土から採れる「砂鉄」と、木を焼いて作る「木炭」と、炉 (2015/03/23) [全文]

  • 切羽・井手

    (9)絵巻物で見るたたらの工程

    先大津阿川村山砂鉄洗取之図 (2015/03/23) [全文]

  • かつて鉄穴流しが営まれた峠の一角にたたずむ三沢地区の殉職者を弔う地蔵=島根県奥出雲町鴨倉

    (8)三沢の鉄穴流し 先人の営み誇り育む

     「鉄山智栄居士」。島根県奥出雲町鴨倉の木々に囲まれた峠の片隅に4人の戒名が刻まれた地蔵がある。山を切り崩し土砂を水路に流してたたら製鉄の原料となる砂鉄を得る鉄穴(かんな)流し。4人は危険と隣り合わせ (2015/03/16) [全文]

  • たたら角炉伝承館として修復された槙原角炉。れんが積みの高さは10.3メートル。太平洋戦争中の1942年4月から11月までの8カ月間で、813トンの木炭銑鉄を生産した=島根県奥出雲町上阿井

    (7)角炉 終戦で炉の火落とす

     1945年8月15日。日本が敗北し、太平洋戦争の終結を告げる昭和天皇の玉音放送が流れた歴史的な日をめぐり、櫻井三郎右衛門さん(91)=島根県奥出雲町上阿井=の記憶は鮮明だ。 (2015/03/09) [全文]

  • 炉壁が壊され、姿を現した■(金ヘンに母)。すさまじい熱を放ち、立ち会った人たちを圧倒する=島根県奥出雲町大呂、日刀保たたら

    (6)日刀保たたら(下) 厳か 経験と勘の作業

     オレンジ色と黒の灼熱(しゃくねつ)の塊が姿を見せると、高殿内の寒気が吹き飛んだ。炎をまとい、すさまじい熱量を放つ。 (2015/03/02) [全文]

  • 炉に砂鉄を投入する村下。経験と勘を武器に見えざる炉内の状況を探りつつ作業が進む=島根県奥出雲町大呂、日刀保たたら

    (5)日刀保たたら(中) 先人の技と知恵息づく

     島根県奥出雲町大呂の日刀保(日本美術刀剣保存協会)たたらでは、砂鉄と木炭を交互にくべ、燃やしていく。その工程は一見、単純な作業に見える。だが、操業中、炉内の状況は外から見えない。分析機器も用いない。 (2015/02/23) [全文]

  • 真砂土と粘土で練り上げた土で、釜を作り上げる木原明村下(奥左から2人目)ら。厳粛な儀式のような作業を神棚に祭られた金屋子神が見守っていた=島根県奥出雲町大呂、日刀保たたら

    (4)日刀保たたら(上) 大地の恵みが支える

     鉄作りの神・金屋子(かなやご)神を祭った神棚の前で、たたら吹きの釜作りが進んでいた。練り上げた土を積み上げ、「釜がえ」と呼ばれる伝統の道具で削り、たたいて固めていくと、次第に美しい釜が立ち現れた。 (2015/02/16) [全文]

  • 船通山の麓にある追谷集落の鉄穴流し跡に開かれた棚田。地元住民が整備した追谷綿打公園の展望デッキから景観が一望できる=島根県奥出雲町竹崎の同集落

    (3)奥出雲・仁多米 鉄穴流し跡うまさ育む

     「炉から真っ赤な炎が上がっていた。たたらはえらいことをすると思った」。島根県奥出雲町竹崎の追谷集落の農業、落合伝一さん(73)は子どもの時に見た叢雲(むらくも)だたらの光景を覚えている。軍刀の需要の (2015/02/10) [全文]

  • 島根県奥出雲町中村の蔵屋集落。見下ろすと、水を張った棚田が水盤のように輝く。眼前の棚田の大半が鉄穴流しによって造られた=2014年5月1日撮影

    (2)奥出雲・棚田 採掘後も豊穣の地に

     田の上を吹く涼風が心地よい。夕日を浴びて輝く棚田に思わず見とれた。連載の取材で昨春、島根県奥出雲町の船通山北西を巡り、同町中村の蔵屋集落を訪ねた。どこにでもある風景のように見えながら、眼前に広がる棚 (2015/02/02) [全文]

  • ■中国地方に残る製鉄文化(pdf) ラクダのこぶを組み合わせたような鉄穴残丘。鉄穴流しで削らずに残され、信仰の場として住民に大切にされている=島根県奥出雲町稲原の原口集落

    (1)奥出雲・鉄穴残丘 大地に刻む特異な景観

    たたらと生きた先人の証し (2015/01/23) [全文]

  • 日本独自の製鉄法・たたらの技術者が暮らした集落の「菅谷たたら山内」。地区内には国内で唯一の高殿(右奥)も現存し、貴重な歴史を伝えている=雲南市吉田町吉田

    鉄のまほろば 連載にあたって

    中国山地訪ね地域の誇り再確認 (2015/01/22) [全文]

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