<短歌>寺井 淳選

近況を年賀状のみの友に書く白一杯に詰めて詰めて書く      益 田 俵  幸子

 【評】年に一度の年賀状だけが消息のやりとりである友。一年分の気持ちを込めて手書きする。結句の繰り返しに思いがこもっている。この一枚だけは仕舞うわけにはいかない。

腕のよき人の捌きしか今日のアラ身の少なけれどブリ大根にせむ  出 雲 児玉 幸子

 【評】ブリ大根は寒い時季の食の喜びのひとつ。スーパーで見つけたブリあらに、今日は心なしか身が少ない。それを職人の技とみてゆかしく思うのが、歌を詠む人の心ばえ...