公式戦初勝利を達成し、マスクの下で小さく笑みを浮かべる部員たち=安来市能義町、情報科学高校
公式戦初勝利を達成し、マスクの下で小さく笑みを浮かべる部員たち=安来市能義町、情報科学高校

 <前回のあらすじ>格闘ゲームの交流大会に出場した情報科学高校(安来市能義町)eスポーツ研究会。未経験のジャンルに触れた刺激も冷めやらぬ中、サッカーに似た対戦ゲーム「ロケットリーグ」で競う本命の大会、全国高校eスポーツ選手権の予選に臨んだ。
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 9月26日、いよいよ決戦の時だ。
 高校ごとに3人チームを組む選手権の予選は県単位でなく、全国各校がA~Hの8グループに分かれ、グループ上位による決勝大会を目指す。これなら初戦に他県の強豪との対戦もあり得る。
 しかし、意外にも初戦の相手は県内ライバル校の立正大淞南高校(松江市大庭町)Bチーム。やはり、全国に進むにはライバルを乗り越えないといけないということか。メンバーこそ違うが、立正大には8月末の別の大会で敗れた。雪辱の好機に士気も高まる。
 大会は1試合5分間の2本先取で勝敗が決まる。「勝とうや」。村本幸勇主将が短くはっぱをかけ、ホイッスルが鳴った。

 ●県内対決、実力は拮抗、
 1本目から情報科学の連係プレーが光る。ゴール前の嗅覚に優れた1年遠藤一樹さんを中心に3得点を挙げ、失点1にとどめ快勝。2本目は立正大が反撃に転じて1ー1で延長突入。自ゴール前の乱戦から痛恨のオウンゴールで敗れ、試合は3本目にもつれ込んだ。
 実力は拮抗(きっこう)。流れをつかんだのは情報科学だった。開始早々、村本主将のシュートがネットを揺らして6得点の猛攻を見せ6ー1で勝利。1回戦を突破した。
 企画の目標であり部の念願である公式戦初勝利の瞬間だ。「やったな」。落ち着きながらもうれしさをかみしめる部員たち、活動を追いかけてきた記者も感無量だったが、この後とんでもないオチが待っていた。

 ●国内トップクラスの強豪と対戦
 2回戦は相手の棄権で不戦勝となり、迎えた3回戦。相手はなんと、前年優勝校で国内トップクラスの強豪・N高校(沖縄県うるま市)だった。今大会も優勝候補の一角。まさか予選で対戦するとは…。
 こうなれば当たって砕けるしかない。「大物食い」を狙い果敢に試合に飛び込んだが、レベルが違う。相手は空中でドリブルをつなぎ、球はほぼ地上に落ちてこない。失点後にセンターラインから仕切り直してもすぐ球を奪われ、10秒に1点のペースで失点が重なっていく。結果は1本目が0ー19、2本目は0ー16で、情報科学の試合通算シュート数は1本のみ。ぐうの音も出ない完敗だ。
 「あれがトップクラス。これからの相手はあれよりは戦えるよきっと」。半ば放心状態で部員たちが口をそろえ、笑った。初勝利の喜びがしぼみそうな展開だったが、トップクラスとの一戦は、きっと糧になる。
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 eスポーツ編はもう1回続きます。第14回は11月7日に掲載。半年間の取材を振り返り、高校eスポーツの可能性を考えます。