若年性認知症患者やその家族からの相談に対応する支援団体のスタッフ=出雲市今市町、認知症の人と家族の会島根県支部
若年性認知症患者やその家族からの相談に対応する支援団体のスタッフ=出雲市今市町、認知症の人と家族の会島根県支部

 65歳未満で発症する若年性認知症の患者が2021年1月時点、島根県内で少なくとも146人いることが県の調査で分かった。一方で、日常生活に支障がないかなど、より詳細な調査に応じたのは19人にとどまり、発症を知られたくないとの心情がのぞく。支援の手を行き届かせるためにも、社会的な理解の促進が欠かせない。
 調査は5~9月にかけて実施。1次調査で医療機関や障害福祉施設など2934カ所に患者の有無を尋ね、2330カ所が回答。重複分を除き、146人の患者がいると断定した。
 続く2次調査では、1次調査で患者が「いる」と回答した219カ所の担当者を通じ、患者やその家族に調査書類を送付したが、回答は20人に満たなかった。
 県が相談支援センターの業務を委託する「認知症の人と家族の会」県支部(出雲市今市町)の黒松基子代表(71)は、患者数について「実際はもっと多いはずだ」と指摘。症状や家庭内の状況を知られたくないために、相談に二の足を踏み、同会への電話相談でも素性を明かさず、医療機関での診察や経済的支援につなげられていないケースがあるという。
 会員になりたがらない患者や家族もおり、会員数は2013年の179から、21年11月には150に減少。「患者側が気兼ねなく状況を打ち明けられるにはほど遠い」(黒松代表)状況だ。45歳で若年性アルツハイマー病と診断された「日本認知症本人ワーキンググループ」の藤田和子代表理事=鳥取市在住=は「実態がオープンになることでよりよい社会の実現につながる。安心して伝えられる環境を作る必要がある」と話す。
 今回の調査で回答した19人のうち、相談支援センターの利用者は5人で、県は事業所や医療機関を通じた周知に力を入れる考え。相談支援センターの連絡先は、しまね若年性認知症相談支援センターが電話0853(25)7033、鳥取県若年性認知症サポートセンターが電話0859(37)6611。
 (佐々木一全)