濱 嘉之氏
濱 嘉之氏

新時代における危機管理

  トップダウンで対応を

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が16、17の両日、浜田市、益田市でそれぞれ開かれた。元警視庁警視で作家の濱嘉之氏(62)が「新時代における危機管理」と題し、起こりうる危機を日ごろからイメージして準備することの大切さや、トップのリーダーシップによる情報の組織内での共有、積極的な公開の必要性を訴えた。要旨は次の通り。

 台風19号で東日本を中心に大きな被害が出た。大規模な風水害や事故はインフラが寸断されるなど、想定を超える現象が起きやすく、事前に作った対応マニュアルが意味をなさない。企業や団体は日々、業務や活動を通じてイメージトレーニングし、準備しておくことが大切だ。住宅地の浸水ならば船を用意して人や物を移動させなければならず、冬場の発生ならば停電も想定して避難所に石油ストーブを配備する必要がある。

 危機管理はトップダウンで行うものだ。手法は人それぞれだが、リーダーの資質が試される。ささいなことでもリーダーに情報を上げる仕組みをつくってほしい。

 不祥事が起きる組織ではトップが上がってきた情報を握りつぶしているケースがある。現場で不平不満がたまり、内部リークされる形で不祥事があらわになる。組織でリスクマネジメントができていない典型例だ。上司は優れたカウンセラーになってほしい。社員の会話に耳を傾けて何を思っているのか理解する必要がある。

 不祥事があり、記者会見するときに大事なのは、情報を出し渋らないことだ。経営陣が金品を受け取った関西電力の不祥事の会見では、情報を出し渋った上で退陣しないとし、批判された。伝えるべき情報を整理して公開することが重要だ。死者が出た状況の被害者対策はトップ自らが動くべきで、現場責任者に押し付けてはいけない。トップが迅速に、丁寧に対応することが求められている。