障害者や元受刑者の就労には、社会的包摂が重要と話す炭谷茂理事長=松江市殿町、サンラポーむらくも
障害者や元受刑者の就労には、社会的包摂が重要と話す炭谷茂理事長=松江市殿町、サンラポーむらくも

 障害や引きこもりなどさまざまな要因で就労が困難な人の支援について考える講演会が23日、松江市殿町のサンラポーむらくもであった。恩賜財団済生会理事長の炭谷茂氏(75)が演壇に立ち、弱い立場の人が孤立したり排除されたりすることなく、みんなが共に支え合って生きる社会を目指す「ソーシャルインクルージョン」(社会的包摂(ほうせつ))の理念の浸透を訴えた。

 炭谷氏は、知的、発達障害者や元受刑者らが就労しにくいのは、社会の助け合い機能の弱体化による孤立や、貧困層の拡大が主因で、世界共通の問題と指摘。ソーシャルインクルージョンを広げることが重要で、1990年代以降、この理念を基にした法整備や企業の誕生が進んだ欧州では改善がみられるとした。

 例として各国で生まれた、健常者と同じ労働基準や給与で働く「ソーシャルファーム」(社会的企業)は、当事者の生活を支えるとともに「働く意欲向上にもつながる」と説明。国内外の実例を挙げながら、現在100社ほどしかない日本でも「広げるべきだ」と述べた。

 参加した中野篤子さん(66)=松江市比津が丘4丁目=は「ソーシャルファームの理解が進んだ。困っている人を支援するため、今後も勉強したい」と話した。

 島根県の「みんなで学ぶ人権事業」の一環で、市民団体「和・輪・羽の会」などが主催し、約50人が聞いた。