島根県警運転免許課が入る県免許センター=松江市打出町
島根県警運転免許課が入る県免許センター=松江市打出町

 改正道路交通法の施行に伴い13日から、一定の違反歴がある75歳以上の対象者に運転技能検査(実車試験)を課すといった新制度が始まる。路上の安全を確保するための方策だが、一定の割合で不合格者が出ることが予想され、生活で車が欠かせない地域の高齢者からは不安の声も漏れる。

 運転技能検査は、過去3年間に信号無視や速度超過などの違反歴がある75歳以上の高齢者が、運転免許更新時に課される。指示速度の走行や一時停止といった試験項目のほか、駐車場で運転を誤り店舗に突っ込む事故が頻発しているのを踏まえ、段差を乗り上げた際に素早くブレーキできるかどうかを確認する項目も盛り込まれる。

 島根県警運転免許課によると、2022年度の県内の受検対象者は推計約1600人。警察庁が20年に行った実証実験では受検者の2割強が不合格で、県内でも運転を諦める人が一定数出るとみられる。

 松江市古曽志町に住む鳥谷幸恵さん(83)は「ニュースで高齢ドライバーの事故を見て怖くなった」と、新制度を待たずして乗用車を手放し、日常の買い物は路線バスなどを利用するようにした。

 一方、公共交通の便の悪さや農業など生活スタイルによっては、車が必需品の高齢者も多い。

 人口減少に直面する益田市匹見町匹見で暮らす河野克正さん(74)は、今年12月に新制度の対象年齢になるだけに「試験を受けることになれば不安だ」と口にする。運転不安を軽減するため、衝突被害軽減ブレーキなど安全運転支援装置を備えた自動車(サポートカー)も充実しつつあるが、乗り換える必要があり「お金がある人ならできることだ」と吐露する。

 県警運転免許課の督永正城管理官(56)は、技能検査は免許センターの通知から約1年間は何度でも受検できると説明。「検査を、自分がどれだけ運転できるかを見極める機会にしてほしい」と話している。
      (小引久実)