夏の全国高校野球島根大会まで1カ月を切った。大会は松江市営野球場を主会場に7月13日に開幕し、38チームが甲子園出場を争う。春と秋の県大会を制した立正大淞南を中心に激戦が予想される。コータの野球ざんまい第19回は、スポーツライターの井上幸太氏が夏の大会を展望する。

立正大淞南が一歩リード 「完全制覇」狙う

 2008年の開星以来の3季連続優勝を狙う立正大淞南、春準Vで3大会連続の夏の甲子園出場に挑む石見智翠館、秋春連続3位の益田東の3校が軸になりそうだ。

※夏の大会の組み合わせ
※秋季大会 1~2回戦3回戦~決勝
※春季大会   予選、本戦の結果 

 優勝争いを一歩リードしているのは、秋春連続で県を制した立正大淞南だ。

 守りの中心は、最速140キロの井上雄輝、キレのいいスライダーを軸にテンポよくアウトを奪う持田翔秀の両右腕と、体に隠れたテークバックで球の出どころをギリギリまで見せない変則左腕・小坂純輝の投手陣。ここに、直球の威力は上級生をしのぐ山下羅馬、山陰大会の決勝で6回2失点と試合を作った日野勇吹の2年生右腕2人が加わり、秋よりも厚みが増している。
 

立正大淞南の持田翔秀
立正大淞南の山下羅馬

 攻撃は、兄・唯人(ロッテ育成)をほう彿とさせる強肩捕手としても楽しみな谷川翔太、福島迅、福島脩太の長打を期待できる選手を複数擁する一方で、粘りが身上の2番・田中康生ら、“らしさ”のある選手も打線に点在。強打に、伝統の小技とケース打撃を融合させた攻撃で得点を重ねる。

 攻撃力アップを狙い、春の公式戦では一発長打のある右の大砲・清水タデウ健次、昨年の中学軟式全国優勝チーム・大田二中で3番を担った左の巧打者・勝部友悠の起用を試行。勝部は中学時代、野手出場の際は三塁を守っていたが、山陰大会では外野手でスタメン出場。2人のどちらかが外野の一角に食い込んでくる可能性もある。
 

立正大淞南の勝部友悠

 清水と同じくブラジルから留学している遊撃手の興梠フェリペケンゾウは、今春からスイッチヒッターに。太田充監督曰く「元々が両打ち」とのことだが、来日した昨春から秋までは右打席一本で公式戦を戦った。

 春の島根大会では投手の左右に関わらず左打席に立つ場面が多かったが、中国大会、山陰大会ではすべて右打席へ。チーム屈指のリストの強さを持つが故に、利き腕の右手が押し手になる右打席でスイング軌道が安定しない悪癖を持っていたが、格段にスムーズとなった軌道で、中国大会初戦では左前にクリーンヒット、山陰大会の初戦では、左越えのサヨナラ適時打を放った。
 

山陰大会初戦でサヨナラ打を放った立正大淞南の興梠フェリペケンゾウ

 夏は左右どちらがメインになるかは明言しなかったが、進塁打などの小技が効く左打席、チーム屈指のパンチ力を持つ右打席の両方に期待できそうだ。

 2007年秋から08年夏にかけて開星が達成して以来、島根県内で“秋春夏完全制覇”を達成したチームはいない。

 さらに今年の立正大淞南は新チーム発足直後の松江地区リーグでも無敗、5月末の松江地区大会、そして先日の山陰大会も制した。県内勢に対しては完全無敗で夏に突入することとなる(08年の開星は松江地区大会の決勝で敗れている)。

 このことについて太田監督に投げかけると「勝ち続けることでの、...