われわれ芸人の仕事には、学校寄席、または芸術鑑賞会といわれる学校行事がある。小中高大それぞれの学校に呼んでもらい、ホールや体育館に集まった生徒に、落語やさまざまな古典芸能を披露するのだが、ここ数年、新型コロナウイルスの影響で大幅に減っていた。学校も集団で催しをすることができなかったからだろう。

 最近になってようやく戻りつつあるのだが、その学校寄席にはいろんな見せ方がある。単純に普段の寄席をそっくり見てもらう時もあれば、お囃子(入退場の時に演奏される三味線や太鼓などの鳴り物)という裏方を舞台で見せたり、寄席のしきたりや、座布団や高座でよく見るメクリという芸名を書いた紙などにある細かい縁起担ぎを紹介したりする。例えば座布団、これは4面あるが1面だけ縫い目がない。その縫い目のない方を客席に向ける。「お客さまとの縁が切れませんように」という縁起。メクリは縦長の白紙に、名前を墨で太く「寄席文字」という字体で書く。お相撲とかでも見る字の形。同じように見えるが、...