日本の精神医療は以前から国際的に「人権侵害」と強い批判を受けてきた。患者に対する長時間の身体拘束や隔離、医師1人だけの判断で強制的に入院させられる仕組み。厚生労働省は今年3月、学識経験者や関係団体を集めた有識者検討会で制度改正に向けた意欲的な案を示した。だが、その方針は次第に後退していき、結局、6月にまとめた検討会の報告書では、かなり表現が弱まってしまった。何があったのか。(共同通信=市川亨)

 ▽布団と便器だけの部屋

 2014年、北海道のある精神科病院。外からドアを施錠された「保護室」(隔離室)に私はいた。布団と洋式の便器以外には、テレビも何もない。

 することがないので、1時間ほどで飽きてしまった。看護師に外に出してもらうと、...