線路脇の木々や田園風景が後方へ流れ去る。一歩踏み外せば死が待ち構えるむき出しの屋根で、人々の笑いがはじける―。バングラデシュの列車の上で人々を撮り続けた写真家松本時代さんが、疾走感あふれる写真集「電車は止まらない」(芸術新聞社)を刊行した。

 フリーの仕事に意味を感じられなくなり、原点に戻ろうと2018年、南インドを皮切りに撮影旅行に出た。憧れの沢木耕太郎さんのように「まだ見ぬ世界」との出会いを求めたが、そこは情報が容易に手に入る現代。貧困も格差も巨大なカジノも「全部知っていた」。

 しかし、バングラデシュで屋根に人を乗せたまま爆走する列車を目の当たりにした瞬間、「見たことねえ!」と運命を...