ワクチン接種の予約を受ける境港市コールセンターのスタッフら=境港市上道町、市保健相談センター
ワクチン接種の予約を受ける境港市コールセンターのスタッフら=境港市上道町、市保健相談センター

 高齢者対象の新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化した山陰両県の自治体に予約や問い合わせが殺到している。1人2回の接種が必要になるうえ、対象者全員の接種スケジュールが見通しにくいことが背景にある。自治体は「必ず順番はくる」と冷静な対応を求めるものの、感染すれば重症化リスクが高い高齢者たちは「悠長に待てるものではない」と吐露する。
(取材班)
 第1次、2次の集団接種の予約が早々に定員に達した自治体もある。
 安来市は10日に電話とウェブで集団接種の予約受け付けを始めたが第1次1600回分の枠が即日埋まり、早くも予約は停止状態となった。第2次の受け付け開始は6月 1日で、コールセンターで対応する計画という。
 境港市も同様に第1次、2次の予約は既に満杯。ともに10回線用意した専用電話はパンク状態になり「つながりにくい」との苦情が寄せられた。今月11日に始めた第3次はウェブでも受け付ける。市健康推進課の小川博史課長は「皆さんが必ず打てるだけの量は(供給を)見込んでいる」と市民に理解を求める。
 予約受け付けが始まっていない自治体にも問い合わせが続々と舞い込む。
 31日に受け付けを始める益田市には既に1日60件程度の問い合わせがあり、役所の窓口に直接訪れる高齢者もいる。市は周知不足があるとみて、予約開始日までに広報を強める考えだ。
 問い合わせの嵐は医療機関にも及ぶ。医療機関での個別接種の予約受け付け開始を18日に控える松江市内の医療機関には「予約はどうしたらいいのか」「予約したい」といった電話が殺到。通常診療に支障が出るとして、ワクチン接種の指定機関の解除を申し出た診療所もあるほどだ。
 殺到の背景には感染拡大がとどまらず、死者さえ出るコロナの猛威とともに、実際にいつ接種できるか、見通せない不安感がある。
 現在、配分されている米ファイザー社製のワクチンは3週間の間隔を開けて2回の接種が必要で、予約も2回取らないといけない。
 また、松江市を例に取ると、集団接種の第1次の枠は9360回分、第2次は約1万3400回分。福祉施設入所者などを除く65歳以上の市民は約5万3千人で、市の試算通りに接種希望者が75%の約4万人だとしても全員の接種スケジュールは現時点で具体化していない。
 第1次の集団接種に漏れた同市八雲町西岩坂、須山粋子さん(86)は「早く安心したかったが残念」と吐露。18日に始まる個別接種の予約開始を待つ。同市山代町、無職門脇和男さん(77)は「早く打ちたい気持ちはあるが、事態が落ち着くのを待つしかない」と諦め顔だった。
 近所の1人暮らしの高齢者に代わって予約を手伝った市内の主婦(65)は「予約の現場はサバイバル状態。資料の分かりづらさも不安や焦りを増幅させる」と指摘。市民が安心できるような情報発信や段取りを求めた。