性別や容姿などによる差別には昨今、厳しい視線が向けられるようになってきた。だが学校や職場では、「能力」の高低によって個人が選別されることを、当たり前に受け入れる人々がいまだに多いように思う。

 本書の著者は大学院で教育社会学を学び、企業などの組織開発に取り組んできた専門家だ。私たちが当然視している「能力」が、突きつめれば「幻のように実体のないもの」だという事実に気付かせてくれる。

 能力と言えば、生まれ持った才能や、...