並べたアジの開きを確認する記者(右)と佐伯茂樹さん=浜田市殿町、サエキ
並べたアジの開きを確認する記者(右)と佐伯茂樹さん=浜田市殿町、サエキ

 <前回のあらすじ>浜田市のブランド魚「どんちっち」を売り込む日取りがいったん決まったが、今が旬のどんちっちアジの不漁で延期となった。
 ◇ 漁獲振るわず◇
 販売日は26、27日に改めた。ところが、アジの漁獲は振るわない。インターネット上で「どんちっち3魚」(アジ、ノドグロ、カレイ)の出荷情報を確認できる「どんちっちトレーサビリティ」を見ると、どんちっちアジは3日連続でゼロの時も。取れても量が少ない。浜田に行き、アジの開きを作る予定が1日、1週間…と延びていた。
 「ぼちぼち取れてるけど、加工用に手が出せないんだ」。電話越しでも、浜田魚商協同組合事務局長の石井信孝さん(73)のもどかしさが伝わってきた。どんちっちアジの基準(平均脂質10%以上)に満たないが、その分安く手に入る9%のアジを使うことになった。苦渋の決断だった。

 ◇干物作りを体験◇
 石井さんの紹介で、浜田市殿町の水産加工業「サエキ」に、大分に持って行く干物を作ってもらうことになった。17日午前に到着すると、約600匹のアジが開かれて塩が振られた状態。前日から用意を済ませてくれていた。
 記者は、塩を洗い流すところから体験。けがをしないよう、右手は軍手をしたが、おけを押さえた左手はアジの脂でじっとりした。
 冷風乾燥機に入れるため網付きの板に20匹ずつ並べた。「脂の乗っているアジは形がふっくらしている。端の白いのが脂だ」。手を動かしながら、この道50年の佐伯茂樹さん(74)に目利きのポイントを教わった。
 1時間半後に乾燥機から取り出し、トレーに移して冷凍庫に。体験はここでおしまい。翌日、佐伯さんたちが袋詰めにしてくれた。

 ◇いよいよ販売へ◇
 作った開きは2匹入りで160グラムくらい。400円で販売予定。自宅で試食したところ、身はふっくらで脂乗り良し、うま味もしっかり。胸を張って「おいしい」と売り出せそうだ。
 ふと気になって、古里・大分県のスーパーに聞くと、地元の高級ブランドアジ「関アジ」が店に並ぶことはほとんどなく、入ったとしても、1キロ5千円以上という。1匹が約400グラムと大きく、身の締まりが特徴だが、単純計算でも1匹2千~3千円。主に東京や大阪といった大消費地の飲食店に行くという。「ハレの日でも食べない」「普通のアジでいい」というのが大分県民の本音。ずっと手頃な浜田のアジなら買ってくれるだろうか。
 販売日は1週間後になった。どんちっちアジが確保できなかった分、ノドグロとカレイの干物はどんちっち基準の物を用意する。事前に帰省できないので、知人にポスターを郵送した。
 お客さんは来てくれるだろうか。緊張してきた。
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 どんちっち編第5回は7月4日に掲載。完売を目指して、行ってきます。