2年生で出場した昨夏の独自大会で3本塁打を放ち、注目選手の一角に躍り出ながら、「目立ちたくない」と中軸を打つのも嫌がっていた弱気な主砲が、「この夏は目立つくらい打ちます」と宣言。コータの野球ざんまい第3回は、スポーツライターの井上幸太氏が1人の球児の心境の変化、その裏にあるストーリーに迫る。

監督の國分健(左)と松谷蒼馬

大粒の涙
 敗戦の悔しさが大砲を変えた。

 春の初戦(中部地区予選)で敗れ、自校のグラウンドに戻った後のことだった。三刀屋高監督の國分健(こくぶ・たけし)(43)と話をするうち、3年生の松谷蒼馬(まつたに・あおば)(18)の目から、大粒の涙が止めどなくこぼれ落ちた。頬に涙がつたう中、力強く言い切った。

「変わります。もう目立つことを怖がりません。自分が打って甲子園に行きます」

 涙ながらに宣言する姿は、数か月前には想像も...