2歳まで話せなかった。障害があったわけではない。音声のない環境で育ったからだ。武井誠(47)の両親はろう者で、母は米国人。初めて覚えた言葉は手話だ。

 武井が話せないことに気付いたのは、母が通う教会の関係者だった。「それが自分の使命だというように、日本語の特訓をしてくれた。それがなかったら、今も話せていなかったかもしれない」

 「CODA(コーダ)」。聞こえない親から生まれた聞こえる子どもをそう呼ぶ。武井は大人になってから、自分もコーダなのだと知...