ワクチン接種を受ける大学生。接種者が増える中、打たない人への理解が大切になる=松江市西川津町、島根大
ワクチン接種を受ける大学生。接種者が増える中、打たない人への理解が大切になる=松江市西川津町、島根大

 新型コロナウイルスのワクチン接種が山陰両県でも進む中、副反応への懸念など、さまざまな理由で接種を避ける人たちが不安を抱えている。不接種を理由に職場などで不当な扱いを受ける「ワクチンハラスメント」が全国的に問題になっていることが背景にあり、医師は「『打たない権利』も理解すべき」と訴える。
 「受けて当然という感じ。断るのは難しい」。島根県内の高校の教職員男性(30)は苦笑い交じりに話す。
 男性は、接種した場合、5、10年後に体へ何らかの悪影響が生じるのではないかと不安視し、接種を避けるつもり。ただ、多くの生徒が通う学校で勤務しており、同僚も受ける予定の人が大半のため、堂々と宣言できないでいる。「(不接種だと)隠せるなら隠したいが、結局打たざるを得なさそう」と頭を抱える。
 「おなかの子への影響が心配」というのは現在妊娠中の女性会社員(34)=松江市在住=だ。産婦人科医からは「希望すれば接種可能」と伝えられたが、県内の感染状況が落ち着いていることもあり、万が一の危険を考慮してやめた。
 「通院する他の妊婦と相談もできず、受けないことに不安はある。これから感染対策に人一倍気をつけないと」と気を引き締める。
 接種はあくまで任意であり、打たない人が数多くいるのは当然だ。ただ、不接種を理由に差別的な扱いを受ける事例は多く、文部科学省と厚生労働省は、いじめにつながるとして、学校での集団接種を推奨しないとの通知を都道府県教育委員会に出すなど、慎重な対応を求めている。
 松江市立病院(松江市乃白町)感染対策室の小西龍也室長によると、過去に重いアレルギー反応が出た人など、体質的にワクチン接種を避けざる得ない人もいる。そうした点は本人にしか分からないため、「打てない人が抱える事情も理解せず、無理強いするのは危険だ」と強調する。
 今後、職場や大学などで64歳以下への接種が加速する中、不接種者は少数になり、より声を上げにくくなる恐れもある。周囲が理解を深め、それぞれの事情をくんでいくことが感染予防のためにも大切になる。
 (中島諒)