生成人工知能(AI)の進化は、アートの創作現場に大きな変化をもたらすと言われる。それは表現者の存在を脅かす技術革新なのか―。アーティストと評論家が、現場の感覚と美術という枠組みについて論じた。 

■アーティスト 市原 えつこ 触発し合う共同制作者

 昨年に参加した東京都現代美術館での企画展「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」で、作品の一部に、AIに生成させた架空の教団のプロパガンダ・ポスターを、人間の自作したデザインに混ぜて試験的に展示した。

 その時に感じたのは、AIが自分とは違う切り口から発想をくれるツールのようだということだ。自分の脳...