船上で「すみ抜きイカ」の状態を確認する漁師=大田市温泉津町温泉津、温泉津
船上で「すみ抜きイカ」の状態を確認する漁師=大田市温泉津町温泉津、温泉津

 大田市温泉津地区のイカ釣り漁師が共同で、ケンサキイカの墨袋を除去した「すみ抜きイカ」のブランド化に向けて動きだした。調理の際に墨を洗い流す手間が省ける利点を売りに高単価取引を狙う。
 墨袋を除去したイカは調理のしやすさに加え、出荷箱内の氷が墨で汚れないため、他の魚介類と詰め合わせもできるようになる。鳥取県では「白輝姫(しらきひめ)」の名称でブランド化に先行して取り組む。
 温泉津地区は、医療用はさみの鉗子(かんし)を使い、船上で水揚げ直後に処理する。2019年に漁師1人が独自に始め、3年目の今年から温泉津一本釣り協議会として取り組みを広げた。加盟25船のうち12船が参加し、「大田市産 すみ抜きイカ」と記した共通のシールを箱に貼り出荷する。
 5月中旬にスタートし、協議会全体で1日計約50箱(1箱5キロ)を出荷するうち、すみ抜きは10~20箱。鉗子を使う除去作業に慣れない漁師向けに、県西部農林水産振興センターと県水産技術センターは医療用たん吸引器を改良したバキューム式の除去装置2台を温泉津港に設置し、出荷量の増加を後押しする。
 すみ抜きの競り価格は昨期実績で1箱当たり約5%高い。市場を通じ関西や島根県内の飲食店向けに供給しており、家迫篤会長(61)は「墨独特のにおいも抑えられ、調理も簡単になる。船上での負担は軽くないが、時間がかかっても魚価向上につなげたい」と意気込んだ。
 20年の温泉津地区のケンサキイカ水揚げ量は11トンで、金額は1400万円だった。
(村上栄太郎)