瀬川選手の横断幕の前で声援を送る木部の住民=島根県津和野町山下
瀬川選手の横断幕の前で声援を送る木部の住民=島根県津和野町山下

 東京五輪セーリング男子フィン級の瀬川和正選手(31)=鳥取県スポーツ協会=の予選が始まり、祖母の和子さん(83)が暮らす島根県津和野町の木部地区でも住民の応援に力が入る。山に囲まれたのどかな地域で、ヨットを間近に見たことがない住民がほとんどだ。それでも、東京五輪でゆかりの選手が出たとあって、中心部に応援幕を張り出し、子どもからお年寄りまで挙げて熱い声援を送っている。
(石倉俊直)
 大阪府出身の瀬川選手は小学生の頃まで毎年、父幹夫さん(59)の帰省に合わせ津和野を訪れた。和子さんの元には、ヨットで頑張っているという知らせはあったものの、まさか五輪に出るまでの選手とは思っておらず、知らせを聞いた時は「驚いた」と振り返る。
 木部地区の体育連盟はゆかりの選手が全国大会に出場すると奨励金を贈り、励ましている。おそらく初めてであろう五輪出場の快挙に、瀬川選手が勤める鳥取県立米子産業体育館に急きょ駆け付けて激励した。初めて面会した木部公民館の松浦秀信館長(72)は「木部につながりのある選手がオリ ンピックに出ることは非常に光栄なことだ。素直な好青年」と好印象を抱いた。
 体育連盟の糸賀盛人会長(73)は、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、何とはなしに地域に閉塞(へいそく)感が漂っていたといい「和正は明るい話題を届けてくれた。地元に勇気と元気を与える存在なので精一杯応援する」と応援幕の作成を思い立った。27日の予選開始後は、順位速報を逐一確認して活躍を見守る。
 応援の輪が夏休み中の子どもたちにも広がり、町立木部小学校6年の渡辺大雅君(11)は「会場に行くことはできないけど、一生懸命応援する。メダルを取って僕たちにも見せてほしい」と笑顔を見せ、住民らとともに、山の向こうに広がる海原に向かって「がんばれ」と声援を送った。
 ヨットになじみはない地域だが、せっかくできた縁を大切にし、秋には瀬川選手を招いた講演会を開く計画もあるという。松浦館長は「海上スポーツを知らない住民に楽しさや素晴らしさを伝えてもらいたい」と話した。