販売会の広報用に撮影。記者(左)と石井信孝さん=浜田市原井町、はまだお魚市場
販売会の広報用に撮影。記者(左)と石井信孝さん=浜田市原井町、はまだお魚市場

 記者の古里、大分県日田市で浜田のアジやカレイ、ノドグロの干物を販売して約1カ月たった。グランドオープンしたばかりの「はまだお魚市場」の見物がてら7月28日、浜田に足を延ばした。
 浜田漁商協同組合事務局長の石井信孝さん(73)=大分県玖珠町出身=に案内してもらい、新商品のミズガレイの薫製をごちそうになった。
 カレイは骨が硬くて多いのが難点らしいが、切り身にした薫製は骨がなくて食べやすく、あっさりしたうま味が引き立って料理や酒との相性も良さそう。浜田市のブランド魚「どんちっち3魚」(アジ、ノドグロ、カレイ)の中では影が薄い印象だったカレイを見直した。
 石井さんは「アジやノドグロのほうがメジャーになっているからこそ食べてほしい」という。
昔と比べ、魚の消費が減ったと聞く。実際に販売会の後、大分の知人18人に回答してもらったアンケートで、7割強の13人が、魚を食べる頻度は「週に1~2回」と回答。魚が食卓に上る機会は決して多くない。浜田の水産加工技術が生んだ新たな味は、魚を食べ付けない人にも、きっと喜ばれるはずだ。

 ●プロジェクト、産地のヒントに
 自慢の逸品をどう売り込むか。大分出身の2人が浜田の魚を古里に持ち込むプロジェクトは、産地にとってヒントになったという。
 「なぜ今までやってこなかったのかと思う。きっかけを与えてくれたことが、うれしかった」。浜田にIターンして半世紀になる石井さんが、準備からの5カ月間を振り返った。
 浜田市水産物ブランド化戦略会議が行う「どんちっち」のPR活動は、コロナ禍で豊洲市場(東京都)や関西になかなか出向けず、延期が続く。代替のイベントとして地方で売り込むタイミングには幸いした。
 日田の皆さんも好意的に受け止めてくれた。
 販売会場を貸してくれた日田市駅前通り商店街振興組合の佐々木美徳理事長は「イベントもなく、旅行にも行けない。わざわざ(販売に)来てくれたから、買ってみたいと思った人が多かった」とみる。 
 コロナ禍でネット通販が浸透する中、珍しい山陰の商品に加えて、古里ゆかりの人が販売するストーリーが光ったのかもしれない。

 ●古里からの暖かい言葉
 販売会で印象に残ったのは「若い人が日田を元気づけようとやってくれたことがうれしい」という言葉。記者にとって古里を飛び出したことは負い目でもあったが、結果として人の心を動かす一因になったと思うと、誇らしくも思う。 
 今回は古里が隣同士という縁で、石井さんという心強い協力者を得て、プロジェクトを実現できた。山陰が誇る産品を売り出す仕掛けとして参考になれば、うれしい。
 石井さんは「元気なうちに玖珠でやってみたい」と意欲を持ち続けてくれている。すぐ次とはいかないまでも、まだ縁は続きそう。その時は、また記者も駆けて行きたい。
 =どんちっち編終わり=