回収専用袋を紹介する、西尾清文さん=松江市黒田町、龍雲寺
回収専用袋を紹介する、西尾清文さん=松江市黒田町、龍雲寺

 松江仏教会(伊藤充伸会長)が、馬に模したキュウリや牛に見立てたナスといった「盆飾り」を回収し、供養する。松江市が2014年を最後に特別回収をやめて以降、檀家(だんか)から「ごみとして出すのは忍びない」との声が寄せられていた。山陰両県でも数少ない試みという。
 山陰の盆は、仏壇や別棚に馬に模したキュウリや牛に見立てたナスなどを飾るのが一般的。亡くなった親族や先祖が乗るとされ、馬は早く迎えたいという願いを、牛はゆっくりと帰ってほしい思いが込められる。
 かつては供えた後に川に流されていたが、環境保護の意識が高まるにつれ、自治体が川に流さず、ごみとして出すよう呼び掛けるようになった。中には住民の心情をおもんぱかり、ごみと別に回収する自治体も現れ、松江市は一例だった。
 ところが、松江市も今や盆飾りの回収を行っていない。市リサイクル都市推進課によると、宗教行事であることなどが理由という。
 檀家を訪ねた際に「ごみとして捨てるのがあまりに心苦しい」といった声を耳にしていた市内の僧侶が仏教会で声を上げたところ、多数の僧侶が賛同した。起案者の1人の龍雲寺(松江市黒田町)住職、西尾清文さんは「供物を捨てる心苦しさ、という気持ちは大事にしなければならない」と話す。
 特別回収は松江市魚町の白潟公園で実施。16日午後3~7時の間、持ち込みを受け入れ、直後に仏教会の僧侶が般若心経を唱え、供養する。回収には専用の回収袋が必要で、市内の葬儀社や仏具店、一部寺院の計6カ所で、500円で販売する。袋代は回収と供養の経費に充てる。
 新型コロナウイルス感染拡大「第5波」で、里帰りが少ないと予想される中、西尾さんらは、寂しい思いをする人が増えると推察。「少しでも心情に寄り添いたい」と話す。問い合わせは、龍雲寺、電話0852(21)9789。
 山陰両県では鳥取市仏教会が葬祭業者と組んで、盆飾りの回収に取り組む例がある。
 (多賀芳文)