大雨で水に浸かった建物=9日午後0時6分、島根県隠岐の島町城北町
大雨で水に浸かった建物=9日午後0時6分、島根県隠岐の島町城北町

 台風9号が通過した9日、山陰両県は大雨や強風に見舞われた。島根県隠岐諸島では線状降水帯が発生し、松江地方気象台が「50年に一度の記録的な雨」と警戒を呼び掛けた。昨年8月にも豪雨被害に遭った島民らは「今年もか」とおののいた。江の川や高津川の流域でも緊張が高まった。

 気象庁の雨量データによると、隠岐諸島では海士で1時間雨量が76・0ミリと観測史上最多を更新した。県の雨量計でも1時間雨量が西ノ島町浦郷で61ミリ、知夫村で47ミリを観測。河川の氾濫や土砂崩れ、停電が相次いだ。隠岐郡4町村では午後9時現在、計1940戸で停電が続いている。

 隠岐の島町では、五箇や中村地区で1時間に50ミリ超の激しい雨が降った。港町の漁師備後勉さん(68)は「家が四方から激しい風と雨で打たれるような音がした」と振り返った。

 午前9時54分、町全域に避難指示が出され、30分後には八尾川上流の銚子ダム(原田)で自然越流が始まった。町総合体育館(栄町)には約120人が身を寄せ、不安そうに、スマートフォンで線状降水帯の状況を見守った。自宅そばに土砂災害警戒区域がある中町の会社員女性(34)は「空振りでもいいと思い、今回は早めに避難の準備をした」と話した。

 大雨による増水は大潮と重なり、八尾川河口の港町の一部でも冠水。経営する理髪店が浸水した近藤ひとみさん(61)は「あっという間に家の前が川になった。あしたも片付け作業を続けてます」と言葉を絞り出した。