冷戦下、旧ソ連圏に組み込まれたポーランドで自由を求めて労働運動を繰り広げ、1990年から95年に大統領だったワレサ氏が今年5月、大阪・関西万博を機に日本を訪れた。
労働者から大統領へ。反共の英雄。そう聞くと、旧ソ連と対決するこわもてのイメージを持つが、自伝や伝記映画ではワレサ氏のちゃめっ気ある言動がしばしば見られる。今回の日本での取材でも、それは随所に見られた。
大阪市で取材に応じたのは午前9時半ごろ。小さな会議室にワレサ氏と記者5~6人と通訳が集った。緊張感が漂う中、ワレサ氏は開口一番、冗談めかして言った。「難しい質問をしてね。眠くなってしまうから」。室内の空気が一気に和らいだ。
ワレサ氏は大統領就任前の1983年に、ポーランドで自由労働組合と人権のために非暴力の闘争を果たしたとして、ノーベル平和賞を受賞している。今も国際社会のご意見番として存在感を放つ、その素顔を探った。(共同通信=小玉明依)
▽30分の間
大阪市での取材では、ウクライナの情勢...













