第103回全国高校野球選手権大会(8月11日~29日)で島根代表の石見智翠館が県勢12年ぶりの8強入りの快挙を果たした。全国の強豪と手に汗握る熱戦を繰り広げ、劣勢を跳ね返して競り勝つナインの奮闘は、県民に感動を届け、地元の球児たちを勇気づけた。コータの野球ざんまい第8回は、現地取材したスポーツライターの井上幸太氏が、快進撃の裏側をリポートする。


<石見智翠館の戦績>
▼2回戦(8月21日)
弘前学院聖愛(青森)
   200 000 001|3
   002 000 02×|4
石見智翠館
▽本塁打 宮本1号(2)(葛西)
▽二塁打 長利、上、山崎凌
▽犠打 上▽盗塁 丸岡(1)▽失策 長利
▽試合時間 2時間

▼3回戦(8月24日)
日大山形
   100 000 300|4
   000 101 201X|5
石見智翠館
▽三塁打 塩野▽二塁打 上、山崎琢
▽犠打 秋葉、新田、佐藤、塩野、伊藤(石)
▽盗塁 新田2(1)関山2(2)山崎凌(1)▽失策 新田
▽試合時間 2時間36分

▼準々決勝(8月26日)
智弁和歌山
   110 203 200|9
   000 000 001|1
石見智翠館(島根)
▽本塁打 高嶋1号(1)(山崎琢)
▽二塁打 徳丸、大仲、山崎琢
▽犠打 大仲、角井、徳丸、岡西、渡部、塩路、大西
▽盗塁 宮坂(1)大仲(1)宮本(1)
▽失策 関山、山崎凌▽暴投 高橋
▽試合時間 2時間10分


聖地で初めて響いた「智翠館」
 多くの閉ざされた扉をこじ開けた夏だった。

弘前学院聖愛に勝利し整列する石見智翠館ナイン=甲子園


 今夏の甲子園初戦(2回戦)で、石見智翠館が青森代表の弘前学院聖愛を4―3で下し、4強入りした2003年以来18年ぶり、2009年に「江の川」から現校名へ改称されてからは初めての甲子園勝利を上げた。島根県勢としても、2012年夏の立正大淞南以来の初戦突破だった。

 試合後の会見で、1998年からチームを率い、2003年夏の準々決勝以来の聖地白星を手にした末光章朗監督(51)は、2009年の校名変更時から「~仰げば高し、智翠館高校」と一部が変更された校歌が甲子園に響き渡ったのを聞き届け、試合後の会見でこう顔をほころばせた。

 「何とか(前回出場の)一昨年を含めて全員で校歌を歌いたいと思いながら甲子園に来させてもらったんですけど(監督として勝利に導くことができなかった)。本当に選手がしっかり頑張って、智翠館高校として初めて校歌を歌えたのが本当にうれしい」

大舞台を掴んだ仲間へ 恩返しの一発

 この試合を語る上で欠かせないのが、8回に決勝打となる勝ち越しの2点本塁打を放った宮本赳希だ。

弘前学院聖愛―石見智翠館 8回裏石見智翠館1死二塁、宮本が左越えに決勝の2ランを放つ=甲子園

 宮本は新チーム発足当時から、主に3番を任されていた主力中の主力。昨秋の中国大会では、プロスカウトも注目していた岡山学芸館の186センチ右腕・仲村竜から左翼スタンドへの一発も放つなど、夏前の時点で高校通算本塁打は25を数えていた右の強打者だ。

 だが、6月下旬の...