「地べたの戦争 記者に託された体験者の言葉」の表紙
「地べたの戦争 記者に託された体験者の言葉」の表紙

 山陰中央新報など地方紙9紙が連携した紙面企画を基に、戦争体験者の証言をまとめた本「地べたの戦争 記者に託された体験者の言葉」が刊行された。生々しい声を通して戦争の記憶を掘り起こしている。
 西日本新聞が戦後75年の昨年に企画し、山陰中央新報などが賛同して各紙で連載した企画「言葉を刻む」を基に構成。連載では過去の新聞記事や取材ノートから選んだ言葉をつづった。
 本には西日本新聞掲載分を中心に146編を収録。本紙連載から掲載された「今思えば、軍にマインドコントロールされていた」は、1944年にオーストラリアのカウラ捕虜収容所から日本兵が集団脱走を図った「カウラ事件」を経験した浅田四郎さん(島根県津和野町出身)の言葉だ。
 浅田さんは「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓を守り、自ら命を落とすために行った惨劇を述懐。「カウラの悲劇を二度と繰り返してはならない」と、若い世代に戦争の悲惨さを伝える活動に生涯をささげたことを記している。
 西日本新聞社刊、1540円。
(吉田真人)