息子の背中を押した母の一言「帰ってきたら?」

馬庭達也(まにわ・たつや)37歳 神奈川県からUターン

出雲市佐田町出身。高校卒業後、大阪でデザインを学び、WEBデザイナー、WEBディレクターとして、大阪や東京で約15年勤務。地元の老舗和菓子店「馬庭開運堂」に後継者がいないことを知り、妻・益巳さんと2024年にUターン。

Q. Uターンのきっかけは。

母から「しんどそうだけど大丈夫?」って言われたことですかね。東京で仕事をしているとき、すごく忙しくて、この生活をずっと続けられるのかなと感じていました。

そんなとき母から電話があり、地元の和菓子店が後継者を探していることを知ったんです。和菓子作りは未経験ですけど、佐田町を代表する店がなくなるのは悲しいと思い、決断しました。出雲市が地域おこし協力隊として後継者育成を行っていることなど、Uターンの支援制度が充実していることも心強かったです。

高校卒業後に大阪のデザイン学校に進学したときは、もう島根には戻る気はないという気持ちでした。仕事は大変でしたけど、大手車両メーカーの新型車のウェブサイトを任されたり、充実している面もありました。

島根のことを意識しだしたのは、30代になってからですかね。実家の家系図を作る機会があって、自分が五代目だと初めて知ったんです。親のこととか、家のこととか、この先どうなるんだろうなって、徐々に考えるようになりました。そういうことも、Uターンを後押ししたと思います。

Q. 島根に戻ってきてどうですか。

気持ちがすごく楽になりました。都会にいたときは、満員電車に乗って、夜遅くまで働いて…それが当たり前でしたけど、今はそういうストレスがないです。自然をすごく身近に感じるようにもなりました。山の色が季節ごとに変わったり、草花が咲いたり、鳥の声が聞こえたり。

和菓子は季節感が大事なので、日々の暮らしが仕事につながっているのを感じています。お客さんから「後継ぎが見つかってよかったね」って声をかけてもらえるのも、すごくうれしいですし、必要とされている場所で働けている実感があります。

妻は大阪出身で島根には縁がなかったので、不安が大きかったと思います。知り合いもいないですし、僕自身が経験のない仕事に転職を決めましたし、環境がガラッと変わるので。ただ、妻はパンケーキ屋さんで働いたり、もともと調理の仕事をしていたこともあって「お店を一緒にやっていくなら、経験が生かせるかもしれないね」と前向きに考えてくれました。今は一緒に和菓子店で働き、売り場にも立ってもらっています。

Uターンを受け入れた親の声

Q. 子どもが島根を離れる時、どのような思いでしたか。

父・亮さん

出ていくのは当たり前で、やりたいことがあるなら外に出た方がいい、って思っていました。私自身も若いときは、島根を出ましたから。だめだったら帰ってくればいい。それくらいの気持ちでしたね。

母・理栄子さん

私も子どもが挑戦したいことを応援したいという気持ちでした。ただ、東京に行ってから、子どもと電話で話していると、なんとなく「しんどいんじゃないかな」って感じるようになって。ちょうど和菓子屋の後継者の話が出てきたので、「帰ってきたら?」って声をかけたんです。

Q. 子どもが帰ってきてどうですか。

父・亮さん
一番は、安心ですね。子どもには好きなように生きてほしいという考えは変わりませんが、私も年を取ってきて、何かあったときに、すぐ来てくれる距離にいるっていうのは心強いです。家のことでも何でも相談できるし、頼りになります。

母・理栄子さん
やっぱり、すぐ会えるのは全然違いますね。東京にいたときは、何かあっても電話だけでしたから。今は顔を見て話せますし、表情も柔らかくなった気がします。都会で感じていたしんどさが少しずつなくなっているのかなって、帰ってきてくれて良かったなって思います。

おやこレター 子から親へ


昔から迷惑をかけることもあったけれど、いつもやりたいことを応援してくれて本当にありがとう。

僕がこうして新しい道に進めているのも、いつまでも行動力があってパワフルなお母さんの背中を見てきたからかもしれません。

今は事業承継に向けて修行の毎日ですが、少しずつ前に進んでいます。これからも心配をかけることもあると思うけど、しっかりお店を継いでいく姿を見せられるように頑張るので、これからも応援してもらえると嬉しいです。

体にだけは気をつけて、お父さんと一緒にいつまでも元気で長生きしてください。


手紙を読んだ母の感想


高校を卒業して県外に出てから話す機会も少なくなり、“便りがないのは元気な証拠”と思っていました。

でも、また近くに帰ってきて毎日元気な顔を見て話すことが出来るようになりうれしいです。そして、新たな道に向かって頑張る姿を見ていると、とても頼もしく感じます。

夢に向かって一歩ずつ進んでください。これからも応援しています。


 

~記者の編集後記~

都会に出てがむしゃらに働くなかで、ふと立ち止まり、「この先」を考え始める30代。若いころには思いもしなかった故郷や両親のこと、働き方やこれからの暮らし―。その変化に気づき、「帰ってくるのも一つの選択肢だよ」と背中を押した母の一言が、達也さんの心に残りました。

創業明治14年の老舗和菓子店が抱えていた後継者問題も重なり、いくつものタイミングと人の思いが噛み合うようにしてUターンへとつながっていきました。

「子どもには好きなことをやってほしい」と語りながらも、「帰ってきてくれて安心した」と、顔をくしゃくしゃにして当時を振り返る父。その姿からは、互いを思いやりながら時を重ねてきた、この家族ならではのあたたかさが感じられました。

この記事を読みながら、ふと都会でがんばっているお子さんの顔が浮かんだ方もいるかもしれません。「元気にしてる?」。その一言だけで構いません。このあと、メッセージを送ってみてはいかがでしょうか。

 

数字で見るしまねライフ

仕事が終われば、すぐそこに家があって、
家族みんなで食卓を囲める。

自分のやりたいことに使う時間もある。
島根にあるのは、そんな、ごく普通の暮らしです。

もし、今の生活に疲れを感じていたら、
あなたらしい暮らし方は、島根で見つけられるかもしれません。


仕事

自分らしく働きたい!ワークライフバランスが大事!
あなたを必要としている、あなたにピッタリの職場が見つかります。
通勤時間が短く、帰宅後はしっかりリフレッシュできます。
 
仕事時間

7時間48 (全国平均8時間3分)
(土日を含む週全体の平均)

仕事時間の短さは全国4位。ノー残業を推進する企業も多く、その分趣味の時間を増やすなどプライベートの時間もしっかり確保できる。

※R3社会生活基本調査(総務省統計局)


通勤・通学時間
往復1時間1(全国平均1時間16分)

(土日を含む週全体の平均)

島根県ではマイカー通勤の人が多く、満員電車もほぼ無縁。
「今日は夕陽がキレイだから海に寄って帰ろう」など、
気ままに自分のペースで通勤できる。
※R3社会生活基本調査(総務省統計局)
 

帰宅時刻

18:07(全国平均18:34)

帰宅時間の平均は18時7分。夏ならまだ明るい時間に帰宅することができる。スポーツで汗を流すもよし、家族団らんの時間を大切にするもよし。
※R3社会生活基本調査(総務省統計局)
 

若者の就業率

全国1位※15歳〜39歳で算出したもの

若者の就業率は堂々の全国1位。地元企業の活躍や多様な雇用機会の提供により、職種も働き方も自分に合った仕事が見つけやすい環境だ。
※R2国勢調査(総務省統計局)
 


暮らし

自然の中でゆっくり過ごしたい!広い家でゆったり住みたい!
くつろぎながら、自分の生きがいのために時間を使えます。
新鮮な食べ物や温泉も豊富で、潤いのある暮らしが満喫できます。

交通事故
発生件数の少なさ 全国1位(道路実延長千km当たり)
死傷者数の少なさ 全国2位(人口10万人あたり)

慎重でおっとりしている県民性のせいか、交通事故の発生率の
低さは堂々の全国一。都会に比べると交通量も少なく治安も良く、安心して暮らせる。
※社会生活統計指標2024(総務省統計局)

一般診療所数
全国2位(人口10万人あたり106施設)

赤ちゃんからお年寄りまで、必要な時にしっかり医療を受けたいもの。
島根県における人口10万人あたりの一般診療所数は全国2位と
安心の数字である。
※R5医療施設調査(厚生労働省)


住宅地価格
20,400円/m2(東京圏平均:237,800円/㎡)
安さ 全国5位

島根県の住宅地価格は東京圏の10分の1以下。
土地価格が安い分、敷地の広さや家にお金を掛けられるのもメリット。
※R6都道府県地価調査(国土交通省)


睡眠時間

8時間00分(土日を含む週全体の平均)

100歳超えのご長寿の割合日本一や「ニッポン美肌県グランプリ」でグランプリを全国最多の5度受賞など、美容&健康にはちょっと自信のある島根県。たっぷりの睡眠時間もその秘訣の一つである。

※R3社会生活基本調査(総務省統計局)


子育て

結婚・出産しても働き続けたい!
子どもをのびのび育てたい!
仕事をしながら「子どもをもう一人育てたい」という希望もかなえやすい環境です。 自家用車を持ちやすく、通勤途中に保育所の送り迎えもできるので、雨の日でも快適です。

育児をしている女性の有業率
86.8%
全国3位 (全国平均73.4%

働くお母さんが多く、島根県は全国3位。 仕事を続けながら子育ても楽しみたいという希望を かなえやすい。
※R4就業構造基本調査(総務省統計局)

保育所待機児童数

0人 (全国計2,254人) ※令和7年4月1日現在

保育の受入体制が充実し、近年の待機児童はほぼ発生していないなど、安心して子どもを預けられる環境があります。医療費助成など、子育ての経済的な負担の軽減など支援体制も充実。
※保育所等関連状況取りまとめ(R7.4.1)(こども家庭庁)

合計特殊出生率
1.43
全国3位 (全国平均1.15

子沢山ママも多く、合計特殊出生率は全国6位。 自然が多く、治安も良く、子どもたちにとっても健やかな環境で成長することができる。
※合計特殊出生率:15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの
※R6人口動態統計 (確定数)(厚生労働省)