フォトしまね221号
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082021年1月■ 問い合わせ先/中小企業課 TEL 0852・22・5288 大田商工会議所(大田市)では、事業承継推進員を配置し、企業に寄り添った取組を進めています。「1社1社に寄り添う」大田商工会議所事業承継推進員稗田 良則 さん 金融機関出身の稗田良則さんが事業承継推進員になったのは2年前。培った財務などの知識を生かし、飛び込みで地元企業に出向き、相談に乗っています。そこで得た情報は、すぐに大田商工会議所の経営指導員と共有します。同会議所が持つ豊富な企業情報を基に、第三者承継を含めた最適な経営改善方法を考えるためです。 「地元にはすばらしい企業がたくさんある。事業がうまく受け継がれていくよう役に立ちたい」。稗田さんは訪問を繰り返すことで信頼を築き、その企業に適したアドバイスをしています。大田市の事業承継企業紹介廃業予定だった事業所を承継異分野にも進出さんべ食品工業 株式会社         (食品製造業)従業員が事業を承継有限会社 桜木機工    (機械部品、工具加工業) さんべ食品工業では、サイダーなどの清涼飲料水や、こんにゃくの製造を手掛けています。ゆくゆくは会社を継ごうとUターンした勝部総一郎さん。自社の承継を稗田さんたちに相談する中で工場の移転を考えていた時、地元の菓子製造小売が、後継者不在で廃業することを聞きました。「大田の人たちに長く親しまれてきた菓子だった。このままなくなってしまうのはもったいない」と、空き工場とともに菓子製造の技術も受け継ごうと思いを固めました。 この承継には稗田さんの存在が大きかったと言います。「自分一人では思い至らなかった。情報などを教えてもらい、背中を押してもらうことで踏み出すことができた」と振り返ります。 勝部さんは今後、事業承継を契機とした新たな商品開発も展開していく予定です。事業承継推進員の稗田良則さん(左)に商品の相談をする勝部総一郎さん先代の桜木禎男さん(左)と加工部品を確認する月森渉社長 「悩んだが、先々代や先代の社長の熱心な作業姿勢を目の当たりにし、ものづくりの深さにはまった」。昨年、代替わりした桜木機工。従業員だった月森渉社長が後を継ぎました。 同社が波根地区工業団地へ進出したのは平成23年。実はその時から月森社長の経営トップへの就任準備は始まっていました。先代社長は、10年かけて月森さんを育て、会社の体制を整えていきました。そのサポートをしたのが、稗田さんをはじめ、大田商工会議所の職員たちでした。 月森社長は「長く働く年長者もついて来てくれている」と言い、先代たちが築いたものづくりへの情熱を全社員が受け継ぎます。経営基盤づくり

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