紙上講演 立正大教授 小宮 信夫氏

どう守る? 子どもと地域の安全

 犯罪機会なくす努力を

小宮 信夫氏
 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が22、23の両日、浜田市と益田市であり、立正大教授の小宮信夫氏(62)=犯罪社会学=が「どう守る? 子どもと地域の安全」と題して講演した。自身が提唱する地域安全マップ作成の意図を紹介し、犯罪機会をなくすまちづくりの重要性を強調した。要旨は次の通り。

 子どもを狙った犯罪を防ぐ方法として、犯罪機会論という考え方がある。欧米では既に浸透している理論だ。犯罪は動機があり、犯罪の機会があって初めて実行される。その機会をなくすという考え方だ。

 犯罪機会をなくすために、犯罪現場で情報収集し、共通点を抽出すると、犯罪が起きるホットスポットと呼ばれる場所は「入りやすく、見えにくい」ところという結論に至る。

 例えば、民家から離れた田んぼの中の一本道や、歩道橋の上は、見通しはよいが人の目が届かず、犯罪者が大好きな場所だ。人通りの多いところも意外に目は届かない。犯罪者はその場の状況を見て犯罪が成功するかどうかを判断し、人通りが途切れたときに声を掛ける。道路脇の植え込みが途切れたところで長時間、有人で止まっている車も要注意だ。

 不審者を見分けることはできない。犯罪者にだまされないためには、だまさないもの、つまり景色を見て「ここは危ない場所だ」と感じる景色解読力を高めることが大切と考える。

 私は地域安全マップを作成する取り組みの指導を続けている。子どもたちがホットスポットを認識するとともに、地元の防犯ボランティアが犯罪者の心理を読み、先回りしてホットスポットを見回ることで、犯罪を起こそうという気持ちをなえさせる発想だ。

 公園の遊具をフェンスで囲い、大人と子どもの距離をつくったり、遊具そばのベンチを遊具向きでなく外向きに設置し、子どもに視線を向ける大人と目が合うようにするなど、欧米で成功した事例を取り入れ、犯罪機会をなくすまちづくりを進めたい。

2018年8月24日 無断転載禁止