世事抄録 観劇と地球と妖怪と

 5年ぶりというミュージカル「あいと地球と競売人」の復活舞台を堪能した。公演3日間の最終日、すべて自由席で前日まで超満員と聞いていたから、すっかり動作が鈍くなった老妻をせかせて七類港のメテオプラザまで車を飛ばす。開場30分前なのに早くも100人近い長蛇の列ができていた。

 原作は12歳で亡くなった出雲市の坪田愛華さんが美しい地球の環境を守ろうと訴えた自作漫画。1994年からの上演には愛華さんと同世代の嫁も参加したらしく、今回は「雨だれ」役になった小学3年の孫娘の出番である。

 スタッフ・キャスト200人による自主公演は、そうした親子や50回を超す感動の舞台の蓄積、共鳴が原動力なのだろう。仕事の関係で作品は承知しているが、観客として通しで向き合うのは実は初めて。なるほど…妖怪の乱舞、子どもたちのダンスと歌声の出来栄えはすばらしく、速いテンポの場面切り替えとの対比で、静かに天に召される主人公・あいちゃんのかれんさと願いが際立つ。

 さて「地球を汚すのは人間だ」というメッセージは、熱演の子どもたちに宿ったのだろうか。今年の異常気象、震災は見過ごされる身近な危機を再認識させた。だが北海道大停電で電源喪失した泊原発の失態を棚に上げ、性懲りもなく財界から原発待望論が相次ぐ。最近の妖怪は表向き「地球温暖化」も理由にするから油断ならない。

 (松江市・風来)

2018年9月27日 無断転載禁止