第3部 重い課題 (3)連携の壁

岡山側 盛り上がり不足/離島・中山間も冷めた視線

2017年3月、熊本県で行われたフリーゲージトレイン(FGT)の運行試験。鳥取、島根、岡山の3県議会議員協議会はFGT導入を断念し、伯備新幹線整備にかじを切った(資料)
 「フリーゲージトレイン(FGT)は当分無理だ。現実に応じて活動方針を変えないといけない」。2017年7月、米子市内であった鳥取、島根、岡山の3県議会議員協議会の総会後、1998年から先頭に立ってJR伯備線へのFGT導入を求めてきた浅野俊雄島根県議(87)は、さばさばと語った。

 レール幅の広い新幹線と狭い在来線とを直通できるのがFGTの特徴だが、多額の整備費をかけても時間短縮効果が見込めないことが判明。導入を断念し、松江と岡山を結ぶ中国横断新幹線(伯備新幹線)の整備に注力する方針に転換した。

 もともと92年に発足した協議会が目指していたのは、国の基本計画に盛り込まれていた伯備新幹線の建設だった。だが、当時は整備新幹線の計画がいくつも残っており、次善の策としてFGT導入を模索した。

 ここに来て北陸と北海道新幹線が相次ぎ開業。加えて、国が幹線鉄道に関する調査に着手する中、関係者の間では「国はあと3~4年の間に、今ある新幹線の基本計画の中からいくつかを整備計画に格上げするのではないか」との観測が流れる。「今こそ動かないといけない」。協議会会長の斉木正一鳥取県議(70)は力を込める。


 「メリット」なし

 事業費が約1兆円と推計される伯備新幹線の整備では、岡山県側も相当額を負担することになる。国やJRに対する要望活動でも連携は不可欠だが、動きは活発とはいえない。

 「効果とともに、費用負担などの課題について検討する必要がある。国や関係各県の動向を注視しながら情報収集に努めたい」。次期新幹線構想に向けた岡山県の姿勢を問われた伊原木隆太知事は、2017年11月定例会でこう答弁した。慎重な言い回しだった。

 山陽新幹線が通っている上、「人口規模で劣る中海圏域とつながることにさほどメリットを感じていない」と、ある鳥取県議は話す。現に岡山県県民生活交通課の和仁(わに)敏行課長(55)は「現状で(伯備新幹線に関する)盛り上がりはない。(山陰両県と)温度差はあると思う」と漏らす。

 岡山との連携の壁を突き崩すため、「中海圏域の首長による期成同盟会の発足が必要だ」と斉木会長。中海圏域で核を作って働きかけることで、岡山側を動かすのが狙いだ。


 付き合いで参加

 連携の壁を抱えるのは、大阪市から山陰両県を経由して山口県下関市を結ぶ山陰新幹線も共通する。

 2月中旬、島根、鳥取など2府5県52市町村で構成し、国への要望や啓発に取り組む「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」が松江市内で開いた、山陰新幹線の早期実現を求める決起大会には、地元経済人や自治体関係者ら約450人が駆け付けた。

 だが、会議のメンバーには、離島の島根県隠岐地方や中山間地域などルートから外れた自治体も含まれている。「付き合いで参加しているところもある。ルート沿線とそうでない自治体の温度差があるのは仕方ない」という冷めた声も参加者から漏れた。

 決起大会の最後は参加者全員のガンバローコールで気勢を上げたが、実態は一枚岩とは言い難い。

2018年9月26日 無断転載禁止