レッツ連歌(下房桃菴)・11月22日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 この前、川津蛙さんの『とび付句(つく)かえる』をご紹介しましたが、今回は、その句集に刺激されたというかたから、初めて付けたという作品を送っていただきました。嬉しいことです。いきなり入選というのはむずかしいかもしれませんが、決して途中で投げ出さず、10年はお続けください。

 それから、どなたにかぎらず初心のかたに申しあげておきたいのは、人の入選句をじっくり味わってください、ということ。ああ、ボツだった、で終わるのがいちばんつまらないことだと思います。

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◎交番の内側からはチェックされ

魔女やゾンビが街に繰り出し   (益田)石川アキオ

◎カタブツで仕事一筋だった人

褒(ほ)めてるんだか貶(けな)してるんだか

                (益田)吉川 洋子

◎日本語がマスターできぬ娘婿

悪口だけは分かる顔色      (浜田)勝田  艶

両手広げて肩をすくめる   (隠岐の島)大田 有子

◎銭湯で手足を伸ばす時効の夜

ドアが開くたび顔を湯につけ   (益田)石川アキオ

三億円も残り一億        (江津)岡本美津子

タンスの中はかつらがいっぱい  (大田)塩毛 千介

あんた出るよと妻の呼ぶ声    (出雲)行長 好友

◎そうとうに無理して出した数値です

検診前は三日絶食        (松江)小谷由紀子

加点してでも欲しい学生     (松江)岩田 正之

分かりにくいナ軽減税率     (松江)水野貴美子

◎売るチャンスなんど逃(のが)した頑固ジイ

一人娘も今年還暦        (松江)水野貴美子

◎ジム散歩ジム散歩ジム散歩ジム

誘い断り食っちゃ寝食っちゃ寝  (浜田)勝田  艶

きょうもお菓子がとてもおいしい (出雲)野村たまえ

◎役があるだけでもマシな猿芝居

やっと座れた大臣の椅子     (出雲)吾郷 寿海

◎飼い犬の嫉妬は深くなるばかり

炬燵の中で猫は寝ている     (米子)板垣スエ子

◎お返しは朝昼晩のカップ麺

萬平さんが恨めしくなり     (松江)持田 高行

◎首と肩揉んでもらっただけなのに

夜はぐっすり朝は快便      (雲南)安部 小春

掛け算の九九スラスラと言え   (松江)田中 堂太

健康器具をまた買わされる    (出雲)栗田  枝

社内でパッと噂広がり      (飯南)塩田美代子

◎万年も飼わねばならぬミドリガメ

知らないうちに出ていってくれ  (出雲)櫛井 伸幸

生まれ変わったたびに出くわし  (松江)相見 哲雄

◎税金のガマンならない使い途

視察に来ては飲んで騒いで    (出雲)栗田  枝

◎折り紙の講師は百のお婆ちゃん

紺(こん)の絣(かすり)の粋(いき)な着こなし

                (江津)花田 美昭

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 ファッションでもなんでも、欧米の文化がどんどん入ってきますが、人のしぐさだけは例外なのでしょうか。「両手広げて肩をすくめる」日本人なんて、私は見たことがありません。有子さんの句、おみごとでした。

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 次は、今日の入選句に長句(五七五)を付けて、今年のこのシリーズを締めくくっていただきたいと思います。

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 来年の新春特集の前句は、

  動画も添付して初メール

を予定しております。12月にあらためてお知らせいたしますが、前もってお考えおきください。

                (島根大名誉教授)

2018年11月22日 無断転載禁止

こども新聞