レッツ連歌スペシャル(要木木純)・11月29日付

(挿絵・Azu)
 多くを望みすぎると、人生はつらいもの。足るを知ると申しまして…。

 中の下程度で生きる楽しみ

が今回の前句でした。

 偉くなると大変です。普通が一番。

忖度もご意向もなく今日も暮れ (出雲)行長 好友

息子らが争うほどの財もなし  (益田)石川アキオ

優秀な部下に恵まれ退職し   (出雲)石飛 富夫

週刊誌に追いかけられずに酒を飲む

               (美郷)芦矢 敦子

当たったら面倒だから買わぬくじ(益田)可部 章二

 つつましい、でもかけがえのない楽しみが、お金持ちにはわからないのです。

家族にて回転寿司のご馳走日  (出雲)栗田  枝

年一度回らぬ寿司を食べに行く (雲南)錦織 博子

ウオーキング今日も二人で出かけます

               (浜田)佐々木わこ

お刺身は亭主が帰りに買ってくる(益田)吉川 洋子

帳簿みてわずかな残り確かめる (松江)須山 吉雄

 せこいと言われても、気にしないですむのが、中の下のよいところ。

パック持参残り詰め込む宴のあと(安来)根来 正幸

大根は捨てるところがありません(出雲)野村たまえ

百円が千円になる宝くじ    (益田)黒田ひかり

 金持ちが時に中流ぶるのは、妙に腹立たしい。

講演をする本人はお金持ち  (奥出雲)松田多美子

インタビューさらりと語る大富豪(松江)澄川 克治

 以下、私の気に入った作品。

優勝を逃して日本一になり   (松江)川津  蛙

待っていた偶数月の十五日   (松江)持田 高行

世の中で恐ろしいのは女房だけ (江津)花田 美昭

じっと手を見ていた頃がなつかしい

               (出雲)岩本ひろこ

ヤンチャから足を洗って嫁が来る(浜田)勝田  艶

鏡見てそっと微笑む時がある  (松江)立原 松子

いいんだよおまえらしさがいいんだよ

               (浜田)滝本 洋子

九十になっても必ず春は来る  (美郷)吉田 重美

天高く村は総出の芋煮会    (松江)佐々木滋子

百均で全部そろえた新所帯   (松江)花井 寛子

世の中はしょせん歩がなきゃ成り立たぬ

               (松江)岩田 正之

二人には船頭小唄がよく似合い (江津)岡本美津子

カバン投げ五円手にして紙芝居

             (江津)江津のペーター

優雅なる器に添えた花すすき  (浜田)玉田 秀子

雑草という名の草はないときく (松江)山崎まるむ

 連歌は、金のいらない知的な遊びで、少し俗っぽい。まさに中の下の楽しみかもしれません。

次々とレッツのネタが浮かんで来(出雲)放ヒサユキ

投稿の葉書買えればそれでよし (松江)小谷由紀子

四回に一度入選すればよし   (松江)田中 堂太

常連は味わえないよボツの味  (松江)相見 哲雄

今日もまた連歌作りで暮れてゆく(江津)藤井 幹雄

 生活の一部となるまでに、連歌に打ち込まれている方もおられるようですね。私としては、中の下に限らず、すべての人に連歌を楽しんでほしい。

 さて、レッツ連歌スペシャル、今回で私の担当は終わります。個人的趣味に偏った選句で、重要な作品を見逃していたのではないかと反省しております。ここまで、お付き合いいただきありがとうございました。

 後任の選者については、来月、下房桃庵先生より、お知らせがあります。私自身もどこかでお目にかかれるような予感が。

 皆様、今後も連歌の道にご精進くださいますように。

                 (島根大教授)

2018年11月29日 無断転載禁止

こども新聞