紙上講演 日本総研上席主任研究員 藤波 匠氏

藤波 匠氏
人口減が地方を強くする

 若者が活躍できる場 鍵

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が11、12の両日、浜田市と益田市であり、地方の活性化策に詳しい日本総合研究所上席主任研究員の藤波匠氏(53)が「人口減が地方を強くする」と題して講演した。地方に若い世代が活躍できる拠点をつくることが持続可能な社会実現の鍵になると説いた。要旨は次の通り。

 高度成長期に東京圏と地方では2倍の給与格差があり、若者が大挙して東京圏に出た。政府が1960~70年代の全国総合開発計画で地方の公共事業を増やした結果、地方の給与水準が上がり、人口流動が緩やかになった。今も15兆~20兆円をかけて地方で公共事業を行えば、東京圏と地方の人口移動は均衡するだろうが、財政上、難しい。

 島根県の2017年の人口移動は1528人の転出超過だ。東京圏への流出が495人と多いほか、広島や岡山といった中国地方も591人を占める。16年のデータを年代別に見ると、18~26歳が転出超過だが、27歳ごろから転入超過になる。戻ってくる人がおり、他県に移動せずに住み続ける若者もいる。こうした若い人たちを育て、活躍できる地域づくりが重要で、地域に合ったイノベーション(技術革新)を起こす必要がある。

 今、行政は人口を中心部や交通の便がいい場所に集め、暮らしに必要なサービスを提供するコンパクトシティー化を進めている。

 一方で郊外の農地を守る規制が緩く、道路、物流、インターネットの普及で郊外の暮らしが便利となり、集積が進まない。中山間地域に住む高齢者も多い。

 既に自動運転車やドローン宅配といった技術があり、スーパーが無料で町中まで高齢者を送迎する地域もある。こうした技術やサービスを使って、中山間地域で持続可能な生活ができるようになるのではないか。

2018年12月13日 無断転載禁止

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