生兵法

 「知ったかぶりの生兵法は、大けがのもと」を英訳する問題が京都大学の入試に出たそうだ。「生兵法」の訳に受験生は頭を抱えたに違いない。日本語の諺(ことわざ)に対応する英語の決まり文句があれば丸暗記すればいいが、文化の違いでそういう類いの言葉がなかったらどうするか。生はロー、兵はソルジャー、法は方法のことなのでメソッドと逐一日本語に付き合っていこうとすれば、言葉のジャングルに迷い込んでしまう▼進学を目指す島根県内の高校生らを集めた英語特別授業で講師に招かれた灘高校(神戸市)の木村達哉教諭が紹介した。英作文のこつは、字面にとらわれず何を伝えたいか骨太の感覚で意味をつかむ。英訳する前にまず英語にしやすい日本語にする▼この場合の生兵法は問題の文脈から「少しの知識」、大けがのもとは「危険」に置き換えれば英訳しやすい。「少しの知識は危険」で意味は通るらしい▼「英語の力の前に国語の力が問われる。日本語を深く理解して言葉をかみ砕く。そのために日頃の読書の積み重ねがものをいう」と木村教諭▼現行の大学入試センター試験が2年後から共通テストに衣替えする。英語試験はリスニングが重視されるようになるが、多くの教員がリスニングに苦手意識が強く、どう教えればいいか戦々恐々という。聴く力には時間がかかる。英語教師にとって生兵法はけがのもとは人ごとではない。(前)

2019年1月3日 無断転載禁止