背中合わせ家族

 気になる分析がある。民間シンクタンクの野村総合研究所が3年ごとに実施している「生活者1万人アンケート調査」で、スマートフォンの個人保有率が昨年、7割に到達。家族が一緒に過ごす「お茶の間」が消え、それぞれが自分の端末に向かって時間を過ごす「背中合わせ家族」の増加がうかがえるという▼考えさせられるデータを、もう一つ。国立青少年教育振興機構などが一昨年、日本と米国、中国、韓国の小中学生計1万人余りにネット利用と親子関係について聞いた調査だ。家族が一緒にいても、それぞれ自分の携帯やスマホを操作していることが「よくある」「たまにある」と答えた日本の小中学生は約6割と、最も高かった▼しかも「親が携帯やスマホを使用しながら私と話す」ことがよくあるほどその傾向は強く、家族と一緒にいるのが「とても楽しい」と答えた小中学生の割合が低かった。毎日接している親の姿が子どもたちにも影響しているようだ▼急速に広まったSNS(会員制交流サイト)を使った親とのコミュニケーションも最近、増えている。ただ、この調査では小中学生の8割が「直接話す方が好きだ」と答えていた▼メディア環境の変化にはあらがえないが、親子の会話は、背中合わせのデジタルよりも、向き合ったアナログの方が気持ちが伝わりやすい。「お茶の間」の役割を補う一緒の時間を大事にしたい。(己)

2019年2月12日 無断転載禁止