世事抄録 時よ急ぐな

 まだ平成である。未知なる二つの事項の到来に頭を悩ます。後期高齢者まであとわずか。きさらぎの誕生月はひたすら、新時代と来てほしくない新区分に向かって走りだした。

 新時代は国民全体の共有する問題である。自分にとっては、恐らく最後の時代になるであろう。健康面、生き方の問題など、壁に突き当たることが多いと思うが、大半は自分との闘いだ。他人を巻き込むことは極力避けたい。最後の航海は穏やかな風に乗り、笑顔で目的の島へつきたいものである。

 ただ、人間を取り巻く環境の変化、天変地異が当たり前になっていく恐怖を感じる。元凶の一部は人間がばらまいたものであり、人類全体の問題でもあることを忘れないようにしたい。

 この時期になると思い出す。「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」。西行法師の歌である。旧暦の2月15日望月(満月)の翌日に逝去した。73歳の大往生。見事である。鎌倉時代としては超高齢者であり、晩年をどのように過ごしたであろうか。

 さて凡人は2月17日に差別的名称の後期高齢者に仲間入りする。制度の趣旨には賛同するが、体力的にも経済的にも弱者である自分にとって、十分、配慮した制度であることを願う。きさらぎの寒さはいつもの年より身にしむようだ。

 (浜田市・清造)

2019年2月14日 無断転載禁止