紙上講演 一橋大大学院社会学研究科教授 中北 浩爾氏

中北 浩爾氏
安倍政権と今後の日本政治

 衆参同日選 可能性低い

 山陰中央新報社の島根政経懇話会が12日に松江市で、米子境港政経クラブが13日に米子市であり、一橋大大学院社会学研究科の中北浩爾教授(50)=政治学=が「安倍政権と今後の日本政治」と題して講演した。夏の参院選に合わせて衆院選を行う衆参同日選について、自民党と連立を組む公明党の反対が強く、敗れれば退陣につながりかねないとの理由から、可能性はほぼないとした。

 安倍政権は国政選挙で5連勝している。支持基盤を重視して、低い投票率で勝つ。野党と似た政策を打ち出して争点を消している。支えるのは分厚い自民党の支持層だ。都道府県議会の党派別割合を見ると、自民党が50%前後を占める。地方議員こそ自民党の宝だと誰もが口をそろえる。

 統一地方選は、島根、福井、徳島、福岡の4県知事選で自民が分裂する。国会議員が地方議員をコントロールする力が弱まったことなどがあるが、最大の理由は野党の弱体化だろう。つまり、分裂しても敗北する恐れがないと考えている。内部で争う余裕があるという証拠で、自民党の強さを示しているとみるべきだ。

 公明党と集票で補完関係にあるのも自民党の強みだ。議席が増えるという明確な効果がもたらされる互恵関係が築かれており、連立の解消はありえない。

 参院選は安倍晋三首相への不信感に加え、統一地方選後は地方議員の活動量が落ちて自民党が苦戦するという傾向を踏まえても、自公で改選議席の過半数は確保するだろう。

 夏を逃すと解散総選挙のタイミングがないとして衆参同日選が根強くささやかれるが、ほぼないと考える。公明の反対に加え、負ければ一気に退陣につながる恐れがあるためだ。

 ポスト安倍としては参院選で敗れた場合、石破茂元幹事長(衆院鳥取1区)を選挙の顔にしようという空気が出るだろう。参院選に続いて次の衆院選でも勝てば、安倍首相の4選の目が出る。合区は東京では問題点が理解されづらい。島根から解消論議を盛り上げてほしい。

2019年3月14日 無断転載禁止

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