レッツ連歌(要木木純)・3月28日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎一泊か二泊かそれとも日帰りか

結局あけてみた玉手箱    (出雲)吾郷 寿海

◎対岸が遠く感じる寒中泳

引き返したい引き返せない  (米子)板垣スエ子

手招きをするじいさんばあさん(安来)足立 純枝

◎子供らが帰ると金目の物が減り

断捨離せずに断捨離となる  (松江)中村 清子

◎医者からは遠出は無理といわれてる

あの世へ行くのも当分はヤメ (松江)持田 高行

◎おかしいなあるはずなのにアンコール

ともだち百人つくったけれども(益田)吉川 洋子

◎縁側で爪を切ってる忍者さん

前に広げた求人情報     (益田)石田 三章

◎息子達かわるがわるにやってくる

顔を見せずに糸を引く嫁   (美郷)芦矢 敦子

◎幸せは山のあなたの空遠く

池に沈まぬ占いの紙     (益田)石川アキオ

◎窓際の席で無言の一人旅

隣の人にアメをもらって  (奥出雲)松田多美子

あと何分でトイレ休憩    (江津)岡本美津子

寅さんだって悩むことあり  (出雲)行長 好友

◎初デートだといっていたはずなのに

五カ月後には孫が誕生    (浜田)勝田  艶

◎決着がつかぬ隣の境界線

お尻でおされ蚊帳の外へと  (出雲)石飛 富夫

◎あの世にはわたくしだけで参ります

逆走だけは気をつけてくれ  (雲南)横山 一稔

◎わたくしを連れて逃げてはくれないの

そんな約束俺がいつした   (松江)松岡 治恵

過去はともかく今のあんたじゃ(出雲)有藤 晴幸

金もなければ体力もない   (出雲)櫛井 伸幸

◎かくすのもだんだんめんどくさくなり

おいしい方がインスタントよ (雲南)錦織 博子

マスコミ各社へ送るファックス(益田)黒田ひかり

開放的な全裸生活      (出雲)放ヒサユキ

◎人生の初期化ただいま実施中

スイッチさえも入らなくなり (松江)本田  章

結婚相手はまた私でしょ(兵庫・明石)折田 小枝

なんどやっても同じ結末   (出雲)栗田  枝

ほどよくボケてプラマイはゼロ(美郷)源  瞳子

           ◇

 寿海さんの句。「玉手箱」を思いついたところで勝負あったという感じです。このように飛躍した連想ができたらしめたもの。すこし、無理筋でも、読者がいろいろ考えてくれます。浦島伝説最大の謎である玉手箱、その謎に迫っていますね。また、「結局」というK音で始まる固い言葉を冒頭におき、「あけてみた」を句をまたいで配置し、「玉手箱」で体言(名詞)止めするリズムが気持ちいいです。

 多美子さんの「アメ」、美津子さんの「トイレ休憩」という連想も素晴らしい。物思いにふける旅人の印象が吹っ飛んでしまいました。

「初期化」の前句も、面白い付句が集まりました。パソコンやゲームも普及し、年配の方もコンピュータにはいろいろ苦労された経験があるようで。

           ◇

 ではまた、今日の入選句を前句に選んで、それに長句(五七五)を付けてください。

                (島根大教授)

2019年3月28日 無断転載禁止

こども新聞