紙上講演 産業技術総合研究所特命上席研究員 岡村 行信氏

岡村 行信氏
 日本海沖の活断層と巨大地震

  予知不能 普段の備えを

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が16、17の両日、浜田市と益田市であり、産業技術総合研究所の岡村行信・特命上席研究員(64)=海洋地質学=が「日本海沖の活断層と巨大地震」と題して講演した。山陰沖の海域で実施した海底地形の調査で複数の活断層が見つかり、過去にも原因不明の津波が起きていることから、普段からの備えが重要と説いた。要旨は次の通り。

 地震予知はできない。熊本地震の前は兆候がなかった。インターネットで調べると、「地震予知ができる」というサイトはいくつかあるが、科学的根拠はない。日本は頻繁に地震が起こるので、大ざっぱな予知を出せば当たったように見えることもある。実際には正確な地震予知はない。

 長い間、山陰沖の海底地形は浅く、東北沖の日本海と比べると起伏も少ないため、活断層は少ないと考えられてきた。東日本大震災が発生して以降、調査船に乗り、音の反射で日本海の地形を調べた。

 結果、見つけにくい横ずれ断層が県西部に多くあることが分かった。浜田沖には長さ15~20キロの断層が分布し、マグニチュード(M)7前後の地震が発生する可能性がある。国土交通省の想定では、県内の沿岸で最大5メートル程度の津波が達すると推測されている。

 万葉歌人・柿本人麻呂の終焉(しゅうえん)の地、鴨島が沈んだという1026(万寿3)年の大津波は、地震があったという記録が残されていない。海底の大きな地滑りが原因の可能性がある。

 1872(明治5)年の浜田地震、2000年の鳥取県西部地震、16年の同県中部地震、18年に島根県西部で起きた地震のいずれもが、活断層との関係が明らかではなく、全国的にも珍しい地域となっている。

 地震への意識を高め、家具の固定や建物の耐震補強といった事前の対策を講じるべきた。

2019年4月18日 無断転載禁止

    • マイベストプロ
    • マイベストプロ島根 マイベストプロ鳥取マイベストプロ