レッツ連歌スペシャル(黒田 光)・8月29日付

◎満天の星を見ながら飲むビール

同窓会は廃校の庭         (松江)田中 堂太

歓声上がるビルの屋上       (松江)川津  蛙

物干し台の一家団らん       (益田)石田 三章

お話しロボと語り合いつつ     (出雲)石飛 富夫

草刈りやっと盆までに終え     (美郷)源  瞳子

単身赴任最終の夜         (松江)澄川 克治

ホーランエンヤ天の川にも     (安来)原田久美子

ひとつくらいは落ちてきそうで   (雲南)錦織 博子

ふと口ずさむ九ちゃんの歌     (浜田)山崎 重子

入院中のささやかな夢       (米子)佐々木浩子

宇宙飛行士になるという夢     (松江)野津 重夫

はやぶさ2はどこにいるかな    (松江)本田 文夫

スマホの電波届かない町     (松江)山崎 まるむ

今なにしてるボクの織姫      (江津)花田 美昭

タクラマカンの夜は更け行く    (出雲)行長 好友

船はそろそろメキシコの沖   (出雲)はなやのおきな

オレは黙ってキミははしゃいで   (益田)吉川 洋子

スマホを置いて横に来ないか    (浜田)酒井 由美

片手でそっと肩を引き寄せ     (松江)持田 高行

BGMは鈴虫の声         (出雲)飯塚猫の子

今朝のケンカは水に流して     (出雲)野村たまえ

ヤなこと全部パーっと忘れて    (浜田)滝本 洋子

何も変わっていない故郷      (江津)江藤  清

戦なき世が続きますよう      (松江)加茂 京子

明日はなんだかいいことありそう  (浜田)三隅  彰

空き缶などはお持ち帰りを     (雲南)渡部 静子

   ◇

(挿絵・麦倉うさぎ)
 今年の夏も暑かったですね。猛暑の中、ちょっと涼しげな夏の句を、ということで今回の前句。夏の夜、冷えたビールを片手に、皆さんがどんなふうに星空を見上げるのかとても楽しみでした。昼間の暑さや仕事のストレスから解放されて、ホッと一息ついたり、家族や仲間と楽しんだり、宇宙や未来に思いをはせたり、愛をささやいたり…みんなそれぞれに幸せそうですね。

 そんな中、浩子さんの句。入院患者の夢という発想にハッとさせられました。確かに星空の下でビールなんて、健康で自由じゃないとかなわないことですよね。

 さて、今回の入選句の中にも、失礼ながら私が手を加えさせていただいたものがいくつかあります。その一つ、猫の子さんの句。オリジナルは「おんぼらと聞くすず虫の声」だったのですが、上記のように変えさせていただきました。

 「おんぼらと」とは出雲弁で「のんびりと」というような意味を表す言葉だそうで、これ自体はとても風情のあるおもしろい句だと思います。ただ、前句と合わせた時、「星を見る」と「虫の声を聞く」という二つの動作が並立してしまうため、情景がぼやけるといいますか、ビールを飲みながらどちらを主に楽しんでいるのか、「見る」と「聞く」どちらを中心に表現したいのかがわからなくなってしまうのです。

 きっと猫の子さんは、ビールを飲みながら星を眺めている後ろで鈴虫が鳴いている…という場面をイメージされたのだろうと思い、「聞く」という動詞を使わず「BGM」としました。付句だけではなく、前句と合わせた時の全体像を眺めてみる、ということも一つ考えに入れておくといいと思います。

 何だかちょっと理屈っぽい話になってしまいましたね。お許しください。お茶でも飲んで一服しましょう。そろそろ秋ですね。(詩人)

2019年8月29日 無断転載禁止

こども新聞