台風で大規模停電/徹底検証で備え固めよ

 首都圏を直撃した台風15号がもたらした大規模停電によって「電気」と「水」を絶たれ、千葉県を中心に被害が深刻さを増している。直後の猛暑も重なり、エアコンを使えない家屋内で十分な水分補給もままならず、熱中症で病院に搬送される人が続出した。亡くなったお年寄りもいる。被災地への物資供給も遅々として進まない。

 千葉県君津市で9日に送電用の鉄塔2基が倒壊。各地でも電柱がなぎ倒されて電線が損傷したため千葉など7都県で停電は最大90万戸以上に及んだ。東京電力は当初、11日中の全面復旧を目指す計画を公表したが、送配電設備の損害が想定を上回り、なお19万戸余りで停電が続いている。

 これまで首都圏で大きな台風被害はめったになかった。しかも河川の氾濫などではなく、暴風によるインフラ破壊被害がこれほどまで拡大するのを予想するのは難しかっただろう。ただ近年、地球温暖化の影響もあって台風の勢力は強まっている。昨年9月の台風21号でも、関西電力管内で千本以上の電柱が折れ、延べ約220万戸が停電した。

 この時は全面復旧まで17日を要した。こうした被害はどこでも起こり得る。頻度が増す恐れもある。大規模停電と復旧の遅れの要因を徹底検証し、備えを固めたい。鉄塔や電柱の強度見直しとともに、電線の地下埋設などを急ぐ必要がある。

 台風15号は9日未明に千葉市付近に上陸。関東南部では記録的な暴風となった。東京都内で強風にあおられたとみられる50代の女性が亡くなったほか、千葉県内でゴルフ練習場の鉄柱が倒れて住宅を直撃したり、窓ガラスが壊れたりして、けが人が続出。JRや私鉄、地下鉄の運休が相次ぎ首都圏は大混乱に陥った。

 そうした中、停電と、それに伴う断水による深刻な影響がじわじわと広がっていった。千葉県で35度を超える気温が観測された10日には南部の南房総市などで高齢者2人が熱中症の疑いで亡くなり、体調を崩して救急搬送される人も増えた。

 しかし復旧の予定はずれ込んでいる。送電線をつなぐ鉄塔が倒壊しただけなら、送電ルートを切り替えることで影響を抑えることもできるが、今回は、あちこちで電柱が倒れたり、倒木で電線が切れたりと被害が想定を大きく上回った。現場にたどり着くのが難しい場所もあり、政府は一部地域では今後、1週間以上続く可能性があるとの見通しを示している。

 電気も水もない生活が住民に重くのしかかっている。中でも気掛かりなのは、入院患者やお年寄りら災害弱者が置かれている状況だ。厚生労働省によると、千葉県内の医療機関や福祉施設には、13日現在でも電気が通じていない所があり、電源車の配置など最大限の支援が求められる。

 さらに停電地域では通信設備の非常用電源が足りず、障害が発生。固定電話3万回線以上が一時不通となり自治体間の連絡が十分に取れず、被害情報収集に遅れが出た。インターネット回線も使えず、住民は情報不足の中で不安を募らせた。

 全国の送電設備総点検は待ったなしだ。併せて災害時の拠点となる自治体の庁舎や避難所についても、電源確保や情報提供などの面から整備を着実に進めていきたい。

2019年9月14日 無断転載禁止